apoPTOSIS:mod.HB

最近は写真日記。

吉野朔実

 少年・少女漫画を含めて、僕の漫画家ベスト3に入るのが吉野朔実。初めて読んだのは高校の時で、作品は「いたいけな瞳」だった。いたいけな瞳は吉野朔実の短編シリーズで、いくえみ綾のばら色の明日みたいなもの。それからは吉野朔実の漫画を買いあさって、読み尽くした。特に気に入った作品は「僕だけが知っている」。
 小学生の日常を描いたものだが、もちろんそこは吉野朔実、そんな小学生はいないだろってキャラが沢山出てくる。主人公の夏目礼智。ライチって名前は良い。特にライチの母親が凄い。「自殺するくらいなら、相手を殺してから死になさい。どっちも同じだから」(ライチがいじめられて、自殺をするんじゃないかと母親が心配して言った台詞)とか「泣かないわ。だって泣いてすっきりするのいやだもの」(ライチが母親に「僕が死んだらおかあさん、泣く?」と質問した時の答え)とか。名言ばかり。
 吉野朔実がどうして漫画家になったかは、ちょっと前に出た「瞳子」で触れられているが、この人が漫画家になってくれて本当に良かった。いくえみ綾とかぶるところは、学生物が多いことと、長くても4冊ほどで話しが終わってしまうこと。つまり長編がない。少年漫画と違って、少女漫画の世界で長編を書くのは難しいのだろうけれど、思うに吉野朔実にしてもいくえみ綾にしても長編ものは書けないのではないかと思う。
 例えば吉野朔実の「恋愛的瞬間」大筋は恋愛心理学で、出だしはそれに沿ってはいるものの、結局話が逸れてしまって、なんだか強引に恋愛心理学に結びつけてる感じは否めない。いくえみ綾を比較に出したのは、ただの思いつきであって特別な意図はない。吉野朔実少年漫画家で例えると、「神様なんて信じていない僕らのために」の遠藤浩輝か。