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最近は写真日記。

テロとKAMIKAZE

 イタリアのメディアではテロ行為、特に人間爆弾を「KAMIKAZE」と同義で用いて報道している。テロが起こる度に、KAMIKAZEという言葉に置き換えられが、かといってKAMIKAZEという言葉の説明は与えられていない。
 街を歩いているときに、イタリア人の酔っ払いに「お前はkAMIKAZEか?」と問われたことがあるが、そのKAMIKAZEはテロ行為を指しているのか、神風特攻隊を指しているか、元来の神風を指しているのかわからなかった。
 テロの定義は未だに曖昧だが、神風特攻隊をテロ行為とするのであれば、戦争行為は全てテロの範疇に含まれてしまう。祖父と食事をしている際に、イラクの爆弾テロのニュースが報道された。「テロだテロだと言うけれど、人様の家に勝手に入り込んで、それを良いように扱って。それに反抗したらテロだと言われ。米国のやることっていったら〜」などと始まってしまうのだが、彼からすれば「愛国心故の破壊行動」はテロ行為にはならない様だ。
 人間爆弾と神風特攻隊の背景は似た様なものだろう。国家のため、信じるもののため、家族のため、愛する者のため。明確な差違があるとすれば、その対象だろうか。テロはテロルの意味そのままに、「恐怖心」を与えることを目的とし、その対象は非戦闘員に重点を置いている。しかし神風特攻隊の場合、軍事作戦の一つであり、その対象は戦闘員に置かれている。
 もちろん欧米人の言う「KAMIKAZE」が、「命知らずで、無謀な」とか「死を覚悟した体当たり」という意味だけで用いているのであろうが、日本人としては反応してしまう。というのもイタリア人学生の中には、日本史など学んだことが無い学生が多数いる。彼らかすれば既にKAMIKAZEの指す意味はテロ行為と同義に成っているからだ。これは多分イタリアだけでは無いのだろう。他国でもKAMIKAZEという行為がテロのそれに近い意味で用いられて、本当の神風の意味が伝わっていない。
 イラクでの人質事件で、日本政府はまた「自己責任」と片づけるのだろうが、世界中に広まってしまったKAMIKAZEというものの回収、修正、再伝播は誰が行うのか。メディアで軽々しく、テロと神風を同義で用いられても、日本政府の「自己責任」は問われないのか。そのKAMIKAZEで海外に居る日本人が、不快な思いをしても日本政府は「自己責任」で片づけるのだろうか。