apoPTOSIS:mod.HB

最近は写真日記。

BLOOD THE LAST VAMPIREとMIND GAME

 閉鎖モードながらも寝る前に観賞してしまうあたりがやはりオタクの証か。最初はスチームボーイを見ていたが、まるで気分が乗らず、見よう見ようと思っていたBLOODに変更。ショートムービーだから丁度良いかと思っていたが、逆に眠れなくなった。
 本当は劇場に見に行こうと思っていたのだが、ショートムービーに1500円を出せる余裕が当時無かった。おまけに確か渋谷でレイトショーのみだったので、そこまでして見る作品でも無いだろうと思っていたのだ。その後DVDをレンタルで借りてきたは良いが、PS2の調子が悪く見れないままに返却。今回やっと観賞することができた。
 当時この映像を見ていたらかなりの衝撃だっただろう。寺田克也のキャラデザは流石だし、何よりも陰影の使い方が絶妙だ。例えば東京ゴッドファーザーズの様な色彩のはっきりしたものも好きなのだが、BLOODの様な陰鬱とした映像に、何故か痺れてしまう。見ていて何故かドキドキワクワクしてしまうのだ。
 というのも僕は基本的にホラー映画が苦手である。リングを見ようものなら、テレビのあるところで寝られなくなる。兎に角心霊現象には弱いので、そういう映像を見るとシャワーしている時に目を瞑るのが恐いほどだ。このBLOODに関しても観賞中は「もしかして恐い系か?」などと思いながら見ていたので、自然とドキドキしてしまった。
 BLOODは一応「アクション・モダンホラー」ということだが、対象が「翼種」という怪物で、姿格好がまさに「モンスター」なので、そこに「ホラー」を感じることは無かった。どちらかというと「アクション・スリル」か。ただセーラー服と日本刀で、怪物を狩るというくらいだから、それなりのアクションを見せてくれるのだろうかと思っていたが、小夜が圧倒的に強過ぎて物足りない。もうちょっとしのぎを削る様な戦闘シーンがあったら良かったが、ほとんどが一刀両断で「あっけねぇ」としか思えなかった。物語・キャラに関しては謎が多いが、小説やゲーム、それに今後のテレビシリーズで色々と保管されているのだろう。
 「私には人間は殺せない」という小夜の言葉と、「翼種」を切ってからの哀れみの表情。ベトナム戦争最中というバックグラウンドに、エンドロールでの背景。また「ピストルでは殺せず、日本刀で切る」ということが色々と含みがありそうだ。同種殺しをする人間。その象徴である戦争。返り血を浴びることも、「殺す」感覚も味わうこともなく、ただトリガーを引くだけで人を殺せる様になった時代。小説などで追及されているのだろうか。
 そんな謎だらけで終わってしまったので、まるで寝つけず。気持ちを落ち着かせるために、評判だったMIND GAMEを続いて観賞。しかしこれもまた僕の予想とは裏腹に、気持ちを落ち着かせてくれる作品では無かった。
 結果から言えばあまり好みの作品では無かった。芸人を声優に使うのは良いが、まるで落ちが無い。もちろん映像面での「笑い」はあっても、芸人としてのアドリブでの落ちがまるで無いのだ。だったら最初から声優でも良かっただろう。作中の人物の顔が、演じる声優の顔に変化したりするのは面白いが、芸人を使う理由がそこら辺にしか見当たらなかった。今田耕司は好きだが、藤井隆の方が声優としては上手い。
 寝る直前に見た僕が悪いのかもしれないが、あまりの映像の落ち着かなさに途中気分が悪くなった。キャラデザを固定しないのは、テーマ重視だからなのだろう。言ってしまえばキャラも物語も、どうでも良い作品なのだ。「どんな物語でもありえる」というのが根底にある以上、安定させてはいけない作品なのだろう。
 映像に関してはSTUDIO4℃だし、音楽に至っては渡辺信一郎が担当している。テーマに関しても僕は嫌いではないが、ただ率直に言って心に響く台詞が一言も無かった。というか、言葉に重みをまるで感じない。つまり脚本が良くない。途中あまりにもウダウダとやっているので早送りしようかと思ったくらいだ。多分映像と音楽だけだったら、純粋に楽しめた作品である。脚本が良いが演出は駄目という作品は良く出会うが、演出が良いのに脚本が駄目というのはあまり出会わないので、ただただ残念だ。「やりたいように、生きたい様に生きる」という主人公視点で描くのであれば、ルフィ並に突き抜けていないと説得力がない。今更「今までの俺はしっかり生きていなかった〜これからは生きたい様に生きるんや」とか一度死んだ後に言われても……。

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