apoPTOSIS:mod.HB

最近は写真日記。

博士の愛した数式

 原作が素晴らしいそうだが、とりあえず映画を鑑賞。原作がどうだかわからないが、一言で表現するならば「退屈な映画」だった。何というか数式とか理系とかみると、前提として森博嗣があるために、トリックは?殺人は?密室は?となってしまい、ただ単に「数字は美しい」とか今更言われても、別段に面白味も何もない。
 設定は良い。80分しか記憶が持たない数学者。10年前に記憶の蓄積を止めてしまった彼の脳。そして身の回りの世話をする家政婦とその息子。過去に何かがあった義姉。これで殺人があって、それが密室で、それを解くカギが数式だったら楽しめたのに。それぞれのキャラクター設定はうまいのに、バックグラウンドが曖昧で、数式の記号の様には当てはまらない。映画の終わり方も、盛り上がりも何もなく、淡々としたもので、何がどうなっているのか、原作を読んでいないものにはまるでわからない。
 何というか、叙情感を持って数字の美しさを語るよりも、その美しさのために、人が狂っていく様の方が、その美しさをよりいっそう際だたせるのではないか。そんなことより、何より、要するに天才を描けていないというのが、ただ単に興ざめだっただけのことなのかもしれないけれど。原作は本当に面白いのか。