apoPTOSIS:mod.HB

最近は写真日記。

誰だよ、あかさこじゅん

 携帯電話番号が新しくなり、アドレス帳に登録されている人たちには全員メールを出したのだが、今朝、知らない番号から着信があった。それも10分おきに、朝の8時から12時までにほぼ僕の携帯の着信履歴は同じ番号にうめ尽くされた。お昼休みになり、いい加減鬱陶しいので電話をしてみると、「…はい?」と訝し気に応えるので、「何度もお電話を頂いたようなので」と切り出すと、「…あかさこさんではないんですか?」と中年女性の、少し低めのトーンで言われた。
 「いえ、違いますが」と応えると、「えっと、この電話は新しく購入されたかなんかなんですか?」と話しを勝手に進められ、「先月購入したものですが」と言うと、「そうですか、わかりました。どうも」と電話を切られた。
 しかし午後になってもまた同じ番号から着信があった。間違い電話だと気がついてもかけてくるのだから、相当何かあるのだろう。出てみると、「あのぉ、今朝かけたものですけれど」と向こうが積極的に話しだした。「じゅんちゃんって方は知らないですか?」と新しい名前を聞かれるが、「いえ、存じません」と苦笑いすると、「ああ、そうですか。あのですね、私、その人にお金を貸してまして」などと、面倒臭そうな話しが始まる。聞くところによれば、貸したまま携帯が繋がらなくなり、1年程経って電話してみたら僕が出た、ということらしい。「警察に連絡した方が早いですよ。もしくはKDDIに言って下さい」と現実的は話しをすると、「いえ、住所は知っているので…」と歯切れが悪い。「どちらにしても、僕はそういう方は知らないし、先月この番号にしたので、わかりません」と電話を切ろうとすると、「その番号は犯罪に使われていた可能性がありますので。ほら、以前流行ったじゃないですか、振り込め詐欺みたいな」と、どうでも良い話しをされたので、「具体的な不利益が出た場合はまた電話番号を変えますので」と話しにつきあうのが面倒臭くなった。
 携帯電話の番号が使いまわしされるのはしょうがないし、元の所有者が何をやっていたかも関係ない。というか1年も繋がらなかった電話にしつこくかける執念というか執着というか、そのおかげで、僕は知らなくても良い名前を知ったわけだ。あかさこじゅん。これからじゅんという名前を聞く度に、このエピソードを思い出しそうだ。ただこれで本当のあかさこじゅんに出会えたら、それはそれで。