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最近は写真日記。

天気予報は曇り、一時雨→現実は、晴れ、高熱、時々曇り、突風・落雷・豪雨、晴れ、高熱

 先週の金曜日、有休をとって片瀬江ノ島に一泊二日の家族旅行に行って来た。ジュニアたちにとっては初の海である。何よりも心配していたのは天候だったが、梅雨空は何処へやらの晴天だった。

 午前8:00過ぎには現地に到着。宿泊予定の旅館の駐車場を借り、水着に着替えて海へ。海の家は夏休みの来客に備えてまだ準備中。浜辺に海水浴客は誰もいない。強いて言えば怪しいおじさんが野宿をしていたくらい。とりあえずシートを敷き、海へ。予想外にジュニアたちは怯え、まるで海水浴を楽しめない。海の音が怖いのか、水それ自体が怖いのか、はたまたただ単に水温が低いのか、判別がつかない。

挙げ句にジュニアの機嫌は悪くなるばかりで、時々震えたりしている。結局長居せず、午前中いっぱいで切り上げて、海辺の緑モスへ。
 昼食後、相変わらず機嫌の悪いジュニアが嘔吐。しかも体温が以上に高い。気が付けば空は曇天。雲行きが怪しい。熱中症を疑い、定食屋のおばちゃんに小児科を訊き、直ぐに現地の病院へ。予約無しながらも即座に病院は対応してくれ、「そこまで重症ではないので大丈夫ですよ」と声の小さい小児科医が解熱剤を処方してくれた。あまりの声の小ささに2度程聞き直してしまった。ささやき小児科医。
 重度じゃないことに安堵して、早々に旅館にチェックイン。部屋は正に旅館、という仕上がりで、8畳一間でテーブルだけが真ん中に置かれていた。もちろんトイレ・シャワーなし、冷蔵庫やバスタオルなどもなしである。会社の組合の契約保養所で、格安利用が可能だったために選んだのだが、料金以上にサービスの質が良くて、また学生時代の修学旅行を思い出す様な趣きで、満足感は高かった。特にジュニアたちのようにやりたい放題の乳幼児にはぴったりのスペースだろう。つまりは壊すものが何もない、という褒め言葉である。
 
 海水と潮風でドロドロになっていたので、とりあえずシャワーを浴びる。さっぱりしたのか、薬が効いたのか、ジュニアの熱はすっかりと下がっていた。夕食まであまりにも時間が空いていたので、江の電、江の島駅周辺を散策。ジュニアも元気を取り戻し、旅館近くの射的を楽しむ。天候も何とかもって、時々陽が指す程になっていた。射的の景品は、車のおもちゃとプラスチック駒とプラスチックの置き物だった。ジュニアは車のおもちゃを気に入って、ずっと「ブーブー、ブーブー」と遊んでいた。結局ジュニアの気分を盛り上げたのは江の電とブーブーである。
 夕食も無駄に豪華じゃ無く、それでいて味はしっかりしていた。流石に海が近いだけあり、海産物は美味しかった。特に味噌汁は逸品だった。体調を崩していたジュニアも味噌汁だけは平らげていた程である。食後、近くのコンビニでアルコールとつまみを購入し、部屋にこもる。
 ジュニアたちは疲れの為か、僕が風呂から戻った時には寝てしまっていた。まだ20時前だったかと思う。僕ら夫婦もお酒を購入したものの、22時前には睡魔に襲われ寝てしまった。ちなみにゲド戦記放映途中で、シーン的には主人公がヒロインを助けるところ位である(まるで印象に残らない、名前さえも、映画である)。
 次の日も天気予報は外れ晴天だった。しかも真夏日に迫る気温で、とにかく日射しが強かった。旅館をチェックアウトし、まだ陽が昇り切らない内に海辺を散歩したが、それでも日焼けがジリジリと痛かった。

 そのまま帰宅するのももったいなかったので、新江ノ島水族館へ向かう。
 「そこ、そこ曲がって。おじさんがいるはずだから」水族館が近付くと、奥さんがナビゲーションを始める。どうやら水族館附属の駐車場が無いため、有料駐車場を使用しなくてはならないらしい。すると奥さんが「いつも使ってるの」という駐車場に向かう。カブに跨がったおっさんが、そこにいた。「お。駐車場?1日2,000円で良いよ!シャワーもトイレもあるよ!」と勝手に寄って来る。「おじちゃん、ごめんね、今日は海水浴じゃないんだよね。2時間もいないと思うんだけれど」僕を遮り、値段交渉を始める奥さん。「じゃあ、1時間500円で良いよ。あんまり細かいこといわねぇからさ、おっちゃんは。大体1時間で」市営駐車場は30分250円である。「向こうの駐車場は1分過ぎても金取られっけど、おっちゃんは細かいこといわねぇから、大丈夫だよ」と同じことを2回言った。本当に大丈夫なのか?機械の方が信じられるんじゃないのか?そう思ったが「じゃ、おじちゃんのところで!」と奥さんはゴーサインを出した。
 奥さんが江ノ島に来る時はいつも利用していたという駐車場は、漁師の船置き場的な場所で、砂浜直の駐車場だった。目線を海外に向ければ、おっちゃんの船かと思われるものが無造作に横たわっていた。「俺、漁師なんだけれどよ」と確かにおっさんは言っていた。

 「何だ、水族館に行くのか。ダメだよ、あそこはケチだから。前の偉い人は良かったけどよ、今の偉い人は関西人だからケチなんだよ」関西人はケチなのかどうかは良く知らない。「だから駐車場も整備しねぇし、海で珍しい魚もっていってもよ、金取るんだよ、漁師から。俺、漁師なんだけれどよ」ほら、やっぱりおっさんは漁師って言ってた。ただ、水族館に展示する魚に対して、金を取るのはどうかと思った。漁師さんが全体で声をあげて問題を明るみに出せば、少しは変わりそうだが、江ノ島水族館が博物館的役割を担うのか、それともただの商業施設なのか、という住み分け次第だなとも思った。でも実際、入場料大人2,000円という表示を見た限り商業施設だなと確信したわけだが。

 内容的には予想外に面白かった。特にイルカショー。中途半端なシンクロをする女性の方々は抜きにして、イルカの芸達者ぶりにはびっくりした。記憶している限り、初めてのイルカショーだったのだが、感動した。ジュニアたちは反対に号泣。効果音とイルカにびっくりしたらしい。そんなジュニアたちを尻目にイルカに拍手を送る親。良いショーだった。
 イルカの後にペンギンショーも始まりそうだったが、広がらなさそうだったので、スルー。ただ単にペンギンを観賞して和んだ後は、クラゲルームで涼み、そそくさと出口へ。

天気予報では曇りだったが、太陽はカンカン照りで、既に真夏の暑さ。駐車場に戻れば、さっきのおっちゃんはビールを片手に「おかえり」と笑顔を振りまいてくれた。「じゃ、1,000円くれるかな」と利用料金を渡し、写真を撮らせてもらう。大人2人で5,000円もかかる水族館は流石に高いなと思った。

 一応ここまでで片瀬江ノ島旅行は終了である。時間が早過ぎたため、途中僕の地元により、僕が遊び育った公園でジュニアたちを遊ばせ、ドン・キホーテでトロかつカレーを食し、帰路に着いた。首都高途中で酷い豪雨に見舞われ、日本沈没かと思いながら、稲妻の美しさに見とれてしまった。ちなみに奥さんは雷が苦手である。ジュニアたちは何ごともないかの様にチャイルドシートに座っていた。家に着くとジュニアがまた高熱を出し、最後の最後まで存在感を消そうとしない努力に感服である。
 子供たちには初めての海である。僕ら夫婦にとっては2度目の海である。僕はデートで海水浴、という経験がなかった。しかも泊まりという経験は一度もないため、個人的には夜の海とか、夜の海の町とか楽しみにしていた。もちろんジュニアの存在感により、それは先送りになってしまったのだけれど、楽しみは先にとっておけ、ということなんだろう。行きは奥さんが寝ずに運転をしてくれ、気を遣って僕を寝かせてくれていた。きっと僕以上に楽しみにしていたんだと思う。来年以降になってしまうけれど、そんな気持ちで次も楽しめたらと思う。その時にはジュニアたちも少しは大きくなって、海辺を一緒に散歩できると良いのだけれど。