apoPTOSIS:mod.HB

最近は写真日記。

システム管理

 業務上、また職場の役割上システム管理的な役割を担う時がある。自慢じゃないが、僕は文系である。情報処理の知識もなければ、体系的なことは何一つ学んでいない。何かしら使える知識があるとすれば、秋葉原のジャンク品を漁り、自作PCを組み立てたり、家でLan(MacWindows共存)を組んだりしたこと位である。
 今日もそんな事態が起きた。一番忙しい時にネットワークが完全にダウン。外にもアクセスできなければ、ローカルにもアクセスできない。原因はすぐに予想できた。ちょうど所内のレイアウト変更を行っていた為、その影響で通信機器を誰かがいじったのだろう。つまり社内全体のネットワークダウンではなく、所内のみのダウンである。とりあえず頭の中で原因範囲を狭める。男性は一般的に機械に対して抵抗がないとされている(気がする)。それでも十数人いる男性陣はまるで動かない。「またシステム落ちたよ」「新しいシステムの影響?」「え?うちだけじゃないでしょ?」「ヤフー繋がらないんだけど」全体のネットワークがダウンしているのに、自分のPC端末の操作に手いっぱいである。
 僕はすぐに通信機器が集積されているラックに行く。見たところどれもこれもオールグリーンの点灯。アクセスランプも問題ない。ルーターもDSUも動作はしている(正常かどうかは不明だが)。システム管理に連携を取り、状況を報告する。「まるで状況が見えないので、何とも言えないのですが、こちら側からはメインのルーターが見えない状態です。サブは生きているみたいですが」と担当のシステム管理も首を傾げている様子の声だった。「ああ、外からは見えてるんですね?じゃあ、通信機器以降の問題じゃないですか?」僕がそう言うと「あ!そうですね。確かにそうです。であれば、ルーターからHubに伸びているケーブルを疑ってください。それと可能であればルーターの再起動を」。早速言われた通りのアクションを起こしてみたが、改善せず。
 その後もHubを再起動したり、ケーブルを入れ替えてみたりしたが、プロンプトでpingを打つ限りルーターの反応は不安定だった。「全くわからないです…。業者問い合わせになるかと思いますが」とシステム管理がさじを投げそうになったところで、いきなり違う人間電話に出た。「えっと、最初にお聞きしますが、復旧までにどれくらいの猶予がありますか?」出てきたのはシステム管理の役職者だった。「できる限り早くです」「状況が不明なのでもう一度お願いします」僕は経緯を整理し、原因の範囲を伝える。「わかりました、基点となるHubじゃなくて、島のHubを見てください。そこでケーブルがループしてませんか?」「見分け方は?」「早い速度でアクセスが一定しているのがそれです」アクションを起こすと、すぐに原因のHubがわかった。ケーブルがループしている。つまりはHubからHubにケーブルが戻っている。それを取り除き、その他の島Hubのケーブルも全てつなぎ直す。
 「あ!繋がった」方々から声が上がる。原因は単純なミスだった。レイアウト変更時にあまっていたケーブルを、あまっていたHubのポートに入れてしまった様だった。その後システム管理の役職者から、所内の事業所長に怒りの電話がいったことは言うまでもない。
 情報処理の知識がなくても、少しくらいならば対応できる、と、まるでわからないでは現場の復旧までの道のりが違う。天狗になるわけではないが、僕がいなかったら間違いなく今日1日の業務が止まっていた。原因は本当に単純なことで、聞けば素人レベルだが、周囲にいたのはそのレベルの人間である。「Hubを探してください」と声をかけても、Hubって何?という質問が飛んできたくらいである。原因を絞れる、外か内か、内のどの段階か、その詮索ができるかできないかが、問題解決の近道であることは確かだ。
 恐れ入ったのはシステム管理の役職者だ。さすがだ、と思った。少し説明した段階で、症状を先回りして応えた。僕と同じ役職なのだが、やはりプロなのだな、と思った。SEへの転職も憧れるけれど、所詮は素人レベル。無理な話だろう。が、僕が今の職場からいなくなった後、誰が現場のシステム管理をするのだろうか。それが一番怖い問題でもある。