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最近は写真日記。

貿易黒字と国家権力

 結局あの後99.8円までで、100円には届かなかった。選挙後のガラは予想通りではあったけれど、95円までは下落せず。ホンダ社長の発言だったり、麻生の発言だったりで、日本は日本で円売りをしている様だし、アメリカはアメリカで酷い指標であっても、雇用統計が予想以下でも「織り込み済」でドルを買いにくるあたり、経済とは結局政治なのだと改めて考えさせられた。
 日本は今まで貿易黒字が続いていたが、なぜそこまで円高にならずに済んだのか。現在の日本経済の象徴であるトヨタの決済が下方修正ではあるが黒字になっているのに対し、GMが明らかな赤字で尚かつ支援を受けられない状況にありながらダウは上がる。単純に考えればリーディングカンパニーの経営状態によりその国の貨幣価値が上がると考えられるが、マーケットは逆の動きをしている。トヨタにしても、GMにしても両自国貨幣が高ければ輸出上での利益は下がる一方だ。トヨタに至っては5,000億の業績は1ドル=100円計算での話で、このまま円高が進めばトヨタの利益は下がることになる。
 「経済大国日本」と言われた時代、なぜあそこまで海外メディアに叩かれたのか、何となくわかった気がした。そしてバブルがはじけたにも関わらず、その後円高最高値を付けられたのか、も。自国の貨幣が高い、という状況は素直に読めば海外から信用されている、という結果である。しかしグローバルマーケットに視点を移すと、自国貨幣の高騰は輸出業の圧迫という表面上の問題に直結して、その国の景気後退を反映することになる(日本の特性なのかもしれないが)。要するにグローバルマーケットにおいては国内利益よりは貿易黒字を優先した方が国家利益は得やすい。(個人投資家新興国の株だったり、FXに手を出すのは、自国で労働するより、そのマーケット理論に従う為だろう。)つまり自国貨幣が高騰しない様に、マーケットに働きかけ続けなければならないのである。
 「日銀の介入が認められた」という言葉を耳にする。政治経済に疎い僕には何のことだかわからなかった。チャートを見ていると時々気持ち悪い動きをすることがある。政府系ではないにしろ、マーケットの値動きをコントロールできるほどの力を感じることがある。ファンドであればその時々の値動きをコントロールし売買するのが仕事だろうが、株と先物の数字変動を無視した買い支えが継続すると、見えない何かがあるんだろうな、と勘ぐってしまいたくなる。「恐るべし、国家権力」と思わず言いたくなってしまうのである。