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最近は写真日記。

労働市場が買い手市場の場合の求人広告の読み方

 完全失業率5.5%、有効求人倍率0.42倍。完全な買い手市場である。企業は労働者を選びたい放題。労働者は企業を選べない。売り手市場だった2年間と逆転している。求人広告もまた時代に合わせて変化している。そこを見逃すといつまで経っても仕事にありつけないのである。
 例えば今の買い手市場(企業有利)にあっては人件費抑制の為に雇用受け口が少ない。また非正規雇用での調整、倒産などで、失業者(労働者)は増加した。有効求人倍率が表すのは、職探しをしている人に何件の求人があるかという求人数であるが、目安として有効求人倍率が上がると求人広告の応募効果は下がり、有効求人倍率が下がると応募効果は上がる。企業側からすれば応募効果はより細分化され分析されている。

1.採用単価
2.面接単価
3.応募効果
4.※登録単価

 採用単価はそのままである。採用する迄の予算であり、求人広告以外にも適用される。2〜4が主な判断基準であり、企業は媒体によって広告会社を使い分ける。
 売り手市場の場合、求職者層が薄いため広告を大々的に打つか、案件内容が群を抜いて待遇が良く、もしくは超一流企業である場合以外、応募効果を得られない傾向にある。要するに応募者にとって魅力のない(メリットが薄い)求人には見向きもしなくなる為、応募がない状態が続き、継続して募集広告を出さなければならない。紙媒体にあっては、1.広告面積を広げる。2.メディア露出を拡大する。3.連合広告の中で、目立つ広告にする。という方法が一般的であり、どの方法をとっても予算がかかるのだが費用対効果は保証できない。
 逆に買い手市場では、広告面積が狭く、メディア露出を制限し、連合広告に埋もれていたとしても、失業者層が厚いため最低限の応募効果が得られる。また応募が集中するため一度きりの募集で人が集まるのである。この状態だと一見して買い手市場は採用単価が低く抑えられそうだが、問題はある。1.応募数が多く人事部が対応に追われる。2.ターゲットから外れた求職者が多く面接まで辿り着けない。3.応募者が多だけで全く採用できない。以上の問題点である。
 求人が減る中で毎週同じ様な求人が出ている理由としてまずミスマッチが上げられる。応募があっても採用できない。採用しても定着しない、などである。それを未然に防ぐため、各媒体社でフィルタリングをしている。特に年齢制限や男女制限が禁止されている為、テキスト上のでフィルタリングが行われている。

1.キャッチコピーが「20代〜30代活躍中」「女性活躍中」→「活躍中」ではなく、「のみ募集」である。
 年齢制限、男女雇用機会均等法で、直接的に募集できない為である。
2.キャッチコピーが「土・日できる方歓迎」→土・日だけできる方
3.書類応募のみ→応募の手軽さを回避
4.web求人では転職理由などの記入のあるなし
5.web求人でのラジオボックスでの選択で、「[土・日も働ける][できる][できない]」というものがあったら、できなくても[できる]が無難
6.写真が掲載されているもので、写真がすべて女性だったら、「女性限定」。若い人ばかりだったら、その「年齢限定」

 それ以外でも色々な策がある。例えばエリアや媒体、情報フィルタリングのみならず、ハード(媒体)面でのフィルタリングも仕掛けられているのである。ちなみに以前はハローワークに案件を出す企業は、求人にお金を出せない、余裕のない企業か、自治体などの関連企業だったが、今では通常の企業もハローワークに案件を出し始めている。労働市場の変化が一番の原因ではあるが、「ただ人を集める」だけであれば、ハローワークでも事足りるからである。今後の求人ビジネスは、「人集め」ではなく、「如何にマッチングさせるか」に的を絞った「サービス業」に切り替わって行くだろう。