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最近は写真日記。

ネット上のコミュニティの形成原理について

 2週間ほど前に、twitterで投げられたお題である。消費期限切れの話題。

 ネット上のコミュニティは全て拡張現実である。現実世界での群衆は、非意識的集団(assemblage)と、意識的集団(community)に大別され、前者は相互関係を重視しない地理的・物理的集団であり、後者は相互関係のみを重視する集団である。
 ネット上では地理的・物理的拘束性が低い為に、後者である意識的集団(community)が優先される。またその集団はネット上にて、オープンコミュニティかクローズドコミュニティに分類することができる。オープンは誰もがアクセス可能であり、クローズドは限定ユーザのみアクセス可能である。ブログサービスは前者、SNSサービスは後者にあたる。大きな違いはサーチエンジンに開かれているか否かである。
 現実世界での地理的・物理的拘束性は、時としてコミュニティ形成への手助けとなる。反面ネット上においてはそのガイドラインが乏しい為、属性というものが足がかりとなる。換言すれば、現実世界では不可抗力的にコミュニティが発生するが、ネット上においてはあくまでも主体的・直接的に自身がコミュニティに参加せざるを得なくなる。
 要約をすれば、現実世界では身体的不自由性の為に限られた範囲内でしかコミュニティを築けないが、ネット上にあってはコミュニティサービスを利用しているユーザは、「コミュニティに参加したい」という前提条件をクリアしている。また属性設定を行うことにより同時にコミュニティのフィルタリングを行うことが可能になっている。
 なぜネット上にコミュニティが形成されるのか。その問いは、インターネット自体がコミュニティを前提とした繋がりである、という、にわとりか卵かの問いに辿り着く。ノードはリンクしてネットワークとなる。地理的・物理的拘束性がないネット上にあっては、他者とのリンクこそがその関係性に枠組みを設けてくれるのである。その関係性の連続がコミュニティとなり、共時的に発生するコミュニティがリンクすればネットワークは拡大していくのである。
 現実世界ではその地理的・物理的拘束性により不可能な行動を、ネット上ではその性質に制約されることなく、主体的に他人とリンクすることができるのである。現実世界ではコミュニケーションの自己選択性が極度に抑制されるが、ネット上では自ら発言する場を選ぶことが可能なのである。既に自明ではあるが、現実世界とネット上の集団性は相関関係にあり、「今のところ」ネットは現実世界を補完する場所となっている。その点において、現実の環境にデジタルデバイスを通して付加価値するネットコミュニティは全て、拡張現実と見なすことができるのである。

以下、400字バージョン

 群衆は、非意識的集団と意識的集団に大別され、前者は相互関係を重視しない地理的・物理的集団であり、後者は相互関係のみを重視する集団である。
現実世界では身体的不自由性の為に、限られた範囲内でしかコミュニティを築けないが、ネット上のコミュニティサービスを利用しているユーザは、「コミュニティに参加したい」という前提条件をクリアしている。また属性設定を行うことにより同時にコミュニティのフィルタリングを行っている。
 なぜネット上にコミュニティが形成されるのか。その問いは、インターネット自体がコミュニティを前提とした繋がりである、という、にわとりか卵かに辿り着く。ノードはリンクしてネットワークとなる。地理的・物理的拘束性がないネットでは、他者とのリンクこそがその関係性に枠組みを設けてくれる。その関係性の連続がコミュニティとなり、共時的に発生するコミュニティがリンクすればネットワークは拡大していくのである。

 確かお題は400字で、だったと思うので、削りに削って400字。