apoPTOSIS:mod.HB

最近は写真日記。

メフィスト

 初めてメフィスト賞に触れたのは大学2年の頃。それまでミステリー系はまるで興味がなかった。小学生の時に読んだ三毛猫ホームズやシャーロックホームズ、島田荘司くらい。それ以降は純文学ばかり。火曜サスペンスや湯煙系の奥様ミステリー番組もまるで見ず。例に漏れず読み始めたのは森博嗣。「すべてがFになる」はPCFanの中に連載されていたエクセルTIPS集の名前とかぶっていたので、前々から気になっていた。
 その後森博嗣の作品は一応目を通してみたものの、物足りなさを感じて他のメフィスト賞へ。京極夏彦は僕が今まで文系過ぎたので、彼の文章は相いれず。というよりも、回りくどい。ハサミ男殊能将之は素晴らしかったけれど、黒い仏が理解できず。鏡の中は日曜日は面白かったけれど、トリックがハサミ男とかぶりすぎ。篠田真由美森博嗣と同じ建築系かと思いきや思いっきり文系で1巻目で終了。高里椎奈に至ってはメフィスト賞に値するのかが疑問。
 高田崇史QEDシリーズは民俗学、史料学に基づいていながら、書き手が理系なので小説として面白い。古泉迦十の火蛾はちょうどイスラム教を学んでいるときだったのでベストな時期に読めた。霧舎巧はキャラクターが意味不明。摩耶雄嵩は翼ある闇で彼の日本語の意味がわからず。佐藤友哉フリッカー式は笑って読めたものの、その後の作品はどうもダウン系。その点、西尾維新はアップ系で読みやすい。ライトノベル志向だと言われるが、世界の中心で愛をさけぶが日本文学のコーナーに平積みされるくらいならば、西尾維新も日本文学で構わないだろう。
 舞城王太郎煙か土か食い物阿修羅ガール三島由紀夫賞を取ったが、それも頷ける。あえて読まなかったメフィスト賞作家が1人。清涼院流水。これから先もきっと読むことはないだろうと思う。本を手にしたことも、開いたこともあるが、周囲の評価と流水以後と呼ばれる作家の系統で何となく想像はつく。
 純文学はミステリーに駆逐されるという批評を読んだことがあるが、舞城王太郎がやはりターニングポイントか。古泉迦十が作家を続けていれば、舞城王太郎の先にいけたかもしれないが、次回作があるのかないのか。殊能将之にしてもメフィスト賞以上の賞を取っても良さそうなものである。