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最近は写真日記。

森博嗣

 すべてがFになるから始まったS&Mシリーズ。出版がそうであっただけで本当は4作目だったというのは有名な話し。このシリーズで僕が好きだったのは、すべてがFになると今はもうない、そして有限と微小のパン。Fと有限は真賀田四季が絡んでいるから面白いのだろうが、今はもうないは、ただ純粋に読み終わった後にやられたと感じた。ただこの作品があったから、次のVシリーズではひっかからずに全巻読むことができたのだけれど。
 Vシリーズの中で面白かったのが恋恋蓮歩の演習。それと朽ちる散る落ちる。それ以外は惰性で読んだ気がする。六人の超音波科学者はどこかの雑誌で「超音波を研究している六人の科学者が、超音波を使って犯人を逮捕」という紹介文を書いていて笑った記憶はある。
 そして二人だけになったは物語自体よりも、登場人物の会話文が好きだった。所々犀川先生の台詞とかぶったりはしたものの、大学の内実を彼なりに皮肉っている。僕は森博嗣の短編ものはまるで好きにはなれないが、この二人だけは何度か読み返した記憶がある。終わり方がお粗末なのはやはり好きにはなれないのだけれど。
 日本では四季のボックス版が出ているらしい。これで完璧に真賀田四季の話しは終わるのだろう。森博嗣の執筆速度と作品の完成度はさすがにプロだと感じる。もちろん文章にムラがあったり、トリックが「ん?」というものもあるがあの執筆速度であれだけのものを出せればプロの作家としては上位にあるのではないか。彼には本業があって、その副業として本を書いているとあればなおさらだろう。ただそれでもこれから先にすべてがFになる以上の作品が森博嗣から生まれてくるとは考えにくいけれど。