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最近は写真日記。

柴犬:森田まさのり短編集

 ブックオフで購入。ブックオフは品揃えは良いが、値段が少し高めなので、いつも買い物を躊躇する。今回の柴犬も定価の半額で、少々高めか。他にブックオフで購入したのは、ちくま新書、中山元フーコー入門。それと講談社現代新書夏目房之介のマンガと戦争。本当は、「恋愛結婚は何をもたらしたか」を探していたのだが、結局古本では見つからず。
 ろくでなしBLUESが人気だったのは僕が中・高生の頃。その影響でボクサーを目指す友人もいた。ブルーハーツが解散する前で、ろくでなしとブルーハーツは切っても切り離せなかった。というよりも、ろくでなしが好きな人間は、必ずブルーハーツが好きだったし、ブルーハーツが好きな人間はろくでなしを欠かさず読んでいた。
 その後のROOKIESも面白かったが、物語が途中で終わってしまったので、もったいない。今回の表題作である柴犬は前後編でヤンジャンに掲載されたものである。掲載されたのが丁度夏だったので日本にいたのだが、週刊誌は買わない様にしているので、読むことができなかった。ちなみに立ち読みも好きではない。
 柴犬のテーマはお笑いである。「めちゃイケはねトびid:ain_ed:20040804でも書いたが、僕はナインティナインが好きだ。ドリフから始まり、とんねるずダウンタウンと見ていたが、本当に好きになれたのはナインティナインである。というよりも岡村隆史が好きなのだ。
 全員集合もカトケンも好きだったし、みなさんのおかげですや、夢で会えたら、ガキのつかいも必ず見ていたが、結局の所それらは次の日のネタにしかならなかった。僕にはそれくらいしか感じられなかったのだ。とぶくすり時代のナインティナインもそういう意味では、そこら辺のお笑いコンビと変わらなかった。しかしめちゃモテからめちゃイケになり、ゴールデンになって「ああ、もうつまらなくなる」という危惧に反して、彼らはどんどん面白くなった。
 それは偏に矢部浩之の成長のたまものだろう。もちろん岡村隆史の内面的な成長*1もあるだろうが、初期のナインティナインはどうしても岡村隆史のキャラに頼るものが多かった。つっこみは矢部でなくても良かったのである。例えばキングコング。上述の記事でも書いたが、西野亮廣がそうだ。フリートークなどを見ていても若さ満開で、相方を忘れているんじゃないのか?という感じになる。
 柴犬はそういうところを上手く表現している。どれだけのお笑いの天才がいても、それを生かし切る人間がいなければ、漫才は面白くない。ダウンタウンもそうだろう。松本人志は天才だが、彼を扱えるのは浜田雅功だけだ。松本人志が書き、構成、演出を手がけても、浜田雅功が居なければ、松本人志本来の面白味は出てこないのだ。
 しかしこの柴犬、最後は相方を失ってしまう。お笑いコンビが解散して、それでも尚芸人を続けていくのは困難だろう。ピン芸人として生き残れる力のある人間は、逆にコンビを組んでいて、本領を発揮していなかったとも考えられる。もちろんコンビ時代に色々と経験して一人立ちするのが流れだろうが、柴犬の様な予期しない解散ではそれも難しい。
 その他の短編も面白い。ボクシングものが2編。殺し屋ものが2編。それと小学生主人公が1編。森田まさのりの場合、浦沢直樹の様な緻密な物語構成ではなくて、キャラに重点が置かれているので、こういった短編ものの方が読みやすいかもしれない。本人があとがきに残している様に、長編読み切りが合っているのかもしれない。

柴犬?森田まさのり短編集
森田 まさのり

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*1:芸ではなく、人間としての