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最近は写真日記。

ホストになってみよう:その7

 ホスト見学をしてから数日後、いつものホストから電話がかかってきた。「もしもし、この間はどうもね。来週の土曜日なんだけれど、新しい店で顔合わせするからさ、来てもらえるかな?」詳しい話しを聞くと、地元の駅から少し離れた場所に店がオープンする様だ。駅にして2つ分。最寄りの駅で待ち合わせをして、また迎えに来てもらえることになった。
 当日、待ち合わせ場所でホストに会い、新しいお店に向かう。思ったよりも遠くなく、国道沿いの店で、実家からならば自転車でも来れる距離だった。しかし店はかなり中途半端な場所にあり、どの駅から来るにしても少し歩かなければならなかった。この時は「何でこんな場所に店を?人来るのか?」と思っていたが、その理由は店がオープンしてからわかった。
 入り口は相変わらず質素で、ホストクラブだとは思えない。しかし中に入ると、横浜の店に比べてかなり手が込んでいることが伺えた。入り口から中のフロアまでの廊下は下から照明を照らし、フロア自体も横浜店の2倍程の広さがあった。フロアの天井にはミラーボールがあり、カラオケ器具も一式揃っていた。壁に沿ってテーブルとソファーが配置され、フロア中心は踊れる様になっている。
 どうやら僕が1番最後に到着したらしく、既に20人程の男子がソファーに座っていた。この間の専務ももちろん出席しており、会釈をすると手を振られた。とりあえず空いているソファーに腰をかけた。
 「おはよう。私がこの店の代表です」と、それまで専務と話しをしていた中年の男性が話しを始めた。こちらは専務に比べて、ハンサムというよりは、男らしいという感じで、仕事場にいたら慕われそうな雰囲気がある。それから各自の自己紹介が始まったのだが、専務は他にももう1人居た。こちらはまだ見た目20代の半ばで、僕が抱いていたホストのイメージとぴったりと重なる様なホストだった。髪は金髪で、前髪が長い。スーツは白で、ホストになる前は絶対にヤンキーだっただろうという話し方をする。事あるごとに前髪をかき上げ、その度に前髪を気にしていた。僕の1番苦手とするタイプの男性だ。
 他にも驚いたことがあった。僕をスカウトしたホストだが、彼は何と主任だった。代表、専務2人、フロアチーフに主任、それ以外に古い店からヘルプで2人のホストが来ていた。現役のホストはどちらも人目を惹きそうなオーラがあり、ホストをやっていなくてもモテそうなタイプだった。
 「それじゃ、君たちにも一応自己紹介してもらおうか」と代表から言われ、ソファーに座っている端の方から自己紹介を始めた。