apoPTOSIS:mod.HB

最近は写真日記。

ホストになってみよう:その8

 自己紹介してと言われても、顔合わせであって面接ではないので、氏名、年齢、趣味などを簡単に答えていく。それぞれに代表や専務の方から質問があるが、基本的な質問と言えば「過去にホストをやっていたか」である。他の男子達を見ていると、ホストとまではいかないまでも、バーとかボーイズバーで経験を積んでいる子が多かった。またそういった子のほとんどが、趣味に「バンドやってます」という子が多く、スーツの着こなし方も昔のGLAYを思い出させる。ちなみに僕はバンドマンに対して良いイメージを持っていない。
 「それじゃ、次」と言われ、僕の番に成った。名前と年齢を告げ、水商売経験が無いことを告げた。何か質問があるかと思いきや、「はい、ありがとう」とあの専務が微笑んでいた。全ての自己紹介が終わって気づいたのだが、年齢幅はそんなに無く、僕の年代の子が多かった。
 「そしたら、今日のところはこれくらいで。来週の早い内にもう一度くらい打ち合わせをするから、そうだな、オープンが金曜日だから、木曜日にここに集まってもらったら良いかな。後は各自、連絡を取り合って下さい。お疲れ」と代表が締め、各自解散していく。僕はいつものホストに声をかけ、店の外に出た。店の前にはまだ解散しきれない男子達が居て、特に話しをするわけでも無く、佇んでいた。僕はその中で、自己紹介の時に同い年だと知った男子に声をかけた。
 「こんばんは、初めまして」ともう一度自己紹介をし、コミュニケーションを取ろうとした。しかし「ああ、こんばんは」と一言で返され、会話がそこで終わってしまった。話す相手を間違えたと思ったが、話し始めてしまったものはしょうがない。「ホストとか経験あります?」とか「ここどうでしょうかね?」などと話題を振るも、「無いですね」「どうでしょうね」という反応で、心の中では「こいつホストやる気あるのか?」と彼の評価はどんどん落ちていく。もういい加減不毛な会話を止めて、帰ろうかと思った矢先に「すみません、おいくつですか?」と聞かれる。僕は彼と同い年だと言うことを知っていたので、「78年の2月生まれです。早生まれなんですよ」と答えたが、「ああ、何だ年下か」と突然、態度が変わった。「何、どうしてここに来たの?」とかそういう質問をされ、一応の経過を話したが、心の中では「今度、私服で、地元の駅であったら、コイツは許さねry…」と、彼は相手してはいけない人リストに加わっていた。
 「それじゃ、お先に失礼します」と、いい加減話しを切り上げて帰ろうとすると、「あ、僕も一緒に良いですか?」と僕より、明らかに若い男子が近寄って来た。「あ、はい、そこまでですが良いですか?」と確認を取ると、「僕もそっち方向なんで」と自己紹介を始めた。