apoPTOSIS:mod.HB

最近は写真日記。

Mr.Black…誰だよ

 先週の金曜日、行きつけのBarでDJをするはずだったが、色々と変更が相次いだので延期になった。フライヤーは配っていなかったが、数人の友人には口コミで伝わっていたため、中止になったことを知らなかった日本人3人組みが、金曜日の夜、そのBarに行ったらしい。
 店のカウンターで僕のことを聞いた際に、「ああ、延期になったんだよ」とは言われたものの、「中に日本人がいるけれど、あれもそう?」と言われ、一瞬店の中を覗いたのだそうだ。中を覗くとそれらしき人がおらず、3人は帰ろうとした。そして店を出ようとした矢先に、「ああ、ちょっと待って、日本人でしょ?中入ってよ」と声をかけられ、振り返ると変な帽子を被った日本人が奥から出て来たという。ペルージャでは見慣れない日本人だったというが、彼らは招かれるまま席に着いたとか。
 どうやら話しを聞くと、彼は過去にも何度かペルージャには来ているらしい。今回も南から北に旅行中で、貿易関係の仕事をしたいからと、色々と見て回っているそうだ。一緒にいたイタリア人は東京の中目黒のイタリアンレストランで働いているとか。また舞台もやっているらしいが、変な帽子を被っているために顔は良く見えなかったということ。
 僕がその話しを聞いたのは次の日の午後。「って、そういう人なんですけれど知っていますか?とりあえず、変な人でした」と3人の内の1人に説明されたのだが、具体的な容姿や名前がわからないので、「う〜ん…」としか言えなかった。ちなみにその場に居合わせた3人はそれほどペルージャが長くなく、3ヶ月〜1年未満の滞在で、その人のことはまるで知らないという。「知らないけれど、名前は?何て言う人?」「ブラック」「は?え?いや、名前よ。その人の名前。雰囲気とかじゃなくて」「いや、本当にブラックって言ったんですよ!」「お前、それ騙されてないか?」と埒が明かない。「そんなことないですよ、他の子が名刺を貰ってたから、見せて貰ってください」と、その3人の中で一番ペルージャの滞在期間の長い子が、どうやらブラックと名乗る日本人から名刺を貰ったらしいのだ。
 月曜日、滞在許可証を申請しに行った帰りに学食に寄ると、偶然にも他の2人にも会えた。彼らに話しを聞くも、やはり印象は「変な帽子に、おかしな人間」ということ。「劇団の人とは言ってましたが、多分売れなかったんじゃないっすか?で、貿易とかやりたいとか言ってる感じもしました」「そんな感じ?ああ、名刺貰ったんでしょ?」「あ、これです。何か興味あったらメールしてって言われて」と名刺を見せて貰った。僕は名刺というくらいだから、ブラックと名乗っていても、本名が書いてあるものだと期待していた。しかし名前が書かれているはずの場所には、「Black」とだけ書かれている。
 隣で話しを聞いていた日本人が名刺を見て思わず吹き出した。「怪しい〜」「確かに。宗教かもよ」「もしくは、壺とか洗剤とか」「っていうか、しっかり名前くらい名乗れよ」と散々いじった結果、「じゃあ、メール出して見ろよ。貿易とか凄い興味あります!こっちでできることなら何でもします!くらいの、やる気満々の。だってある意味ペルージャ支店長じゃない?その名刺を貰ったってことは?」とまとまった。名刺を貰った友人は「え、そっすか。じゃあ、メールして見ます。ちょっと怖いけれど」と、名刺を繁々と見ていた。
 今のところ、その友人からは何の連絡も無いので、特に進展はないのだろう。もしブラックから何かしらの反応があったら、この話しは続くかもしれない。それにしても、誰なんだBlackって。思いっきり日本人じゃねぇか。