apoPTOSIS:mod.HB

最近は写真日記。

ホストになってみよう:その10

 「水商売は基本的にダウンサービスだからね。わかる?ダウンサービス?」風俗やお水に1度も行ったことの無い僕が、水商売の基本を知っているわけがない。隣を見るとジョーもキョトンとしている。「ダウンサービスってのは、要するにお客様の目線よりも下でサービスするってことね」と、先輩ホストが膝を曲げて、席に着いている主任にメニューを見せる動作をした。
 「メニューは簡単だから、やっている内に憶えてね。そうだな、とりあえずビールの種類とソフトドリンクを憶えれば良いかな。って言ってもあんまりないんだけれど」とメニューを渡され、「そしたらain_ed君、やってみようか」と主任が笑っている。「え?ああ、はい。メニューを渡す時には、もちろんいらっしゃいませとか言うんですよね?」と先輩ホストに質問すると「そうだね。本日はメンフィス(店の名前:仮名)にご来店頂きありがとうございますって言って、それから名前を言っても良いかな。メニューを出しながらね。こちらがメニューに成りますとかね。まぁそこら辺はとりあえずやってみて」相変わらずの曖昧さで指導される。
 「いらっしゃいませ、本日はご来店頂きありがとうございます。こちらメニューに成ります…」と膝を付きながら、主任にメニューを差し出す。「そうね、まぁ良いんじゃないかな。後はほら、そういうところでお客さんに顔を憶えてもらうチャンスだから、個性を出してね。あんまり緊張しないで、しっかり目を見てね」と主任はメニューを受け取り、「それじゃビールもらおうかな。何があるの?」とメニューを返される。「ビールは生とアサヒ、コロナに…」*1「そしたらコロナで」と一端区切って「って言われたら、コロナにライムを入れるかどうかも聞いてね」と続けた。僕はビールでさえあまり飲まないので、コロナビールの存在は知っていても、飲んだことなど1度も無かった。
 「まぁ、そんな感じでやってみて。1通り終わったら、今度は席に着いて、水割り作りながら、トークでもしてみようか」と主任は煙草を吸い始めた。ホスト見習い達は、教えられた通りに膝を曲げメニューを差し出して行く。一回りしたところで「じゃあ、3グループに別れてテーブルマナーっていうの?そういうの練習してみて」とグループ分けされた。

*1:何があったか忘れた