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最近は写真日記。

ミラノへ555! feat. チャー&TAMA 後編

 駅に着いたのは電車が出る5分前。僕ともう1人の友人はペルージャ行きのインターシティに乗ろうとすると、チャーくんが何気なく「ホテル、部屋空いてそうでしたよ」と呟いた。顔は笑っていたが、目は何だか本気だった。僕ら4人が一緒に行動したのはたったの1週間だったが、それでも忘れられない1週間に成った。ミラノ旅行が終われば、僕らが4人揃ってイタリアで会う機会は多分、もう無いのだ。チャーくんもそれを感じていたのだろう。滅多にそんなことを言う男子では無いのに、それでも「泊まっていきませんか?」と言いたげだった。
 それでも僕らは予定通り電車に乗って、プラットフォームに立つ2人を見下ろした。発車時刻が迫っているのに、誰も何もしゃべらなかった。しゃべっても会話が続かず、間が持たなかった。僕はいつも見送る側で、見送られるのには成れていない。そういう時に何て言葉をかけて良いかわからなかった。会おうと思えば多分いつでも会える。会いたく成ったら、会いに行けば良い。それでもそうして4人で居られる時間は、その時、その瞬間しか無かった。もう少し4人で居られる時間を楽しみたいと、ウカツにも思ってしまった。
 電車は定刻通り発車し、チャー&TAMAがふざけながらプラットフォームを走っている。僕らはそれを最後まで見て席に着いた。席に着いてから1時間近く空気が重く、沈黙の時間が続いた。心配していた天気は、すっかりと晴れ渡り、時々入ってくる夕焼けの光が眩しかった。計10時間以上の移動時間と約5時間の「ミラノ日帰りプラン」。たった5時間の滞在だったが、それでも今度来た時には思い出さずにはいられない5時間だった。
 ペルージャに着く頃にチャーくんから電話が入った。「どうっすか?」と幾分声が沈んでいるので、「どうって、ほら、4人で会うのは最後だからね。やっぱり寂しいかもね。泊まっておけば良かったかも」と素直に言うと「そんなこと言わないで下さいよ。僕も寂しいんですから」といつになく素直なチャーくんだった。にゃんにゃんしていたチャーくんとも、もうお別れの季節である。「次は大阪でね」と約束はしたが、僕の夏の予定はまだ未定である。しかし次に会う時は日本である。それぞれに新しい生活をしていて、僕はまだイタリアで学生をしているのだろう。これから先、僕は何人の人間を見送っていかないといけないのだろうか。
 それにしても気になるのは、にゃんにゃんチャーくんのその後である。日本に帰国し、何かが進展した際には連絡をくれることになっているので、その都度このページで紹介していこう。