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最近は写真日記。

シューズの壊れ方

 僕がスニーカーを履くと、その寿命は短い。子供の頃から、スニーカーは消耗品で、スニーカー=履きつぶして捨てる、という感覚しかない。他の子供に比べて、育った環境上、外で過ごす時間が多かったのだが、始終サッカーボールを蹴飛ばしていたり、冒険と称してはアスレチック気分で色々な所によじ登っていた。気がつくとアウトソールは剥がれ、ヒールはビリビリ、アッパー部分も穴が空いたりして、1週間持たないことは良くあった。どんな靴を履いても、履きつぶしてしまうので、小学校の時はセール品のシューズしか履かせてもらえなかった。当時はリフレクターがついた靴や、ハイカットの靴が憧れの対象だったが、そんなものは買ってもらった試しが無い。
 その為、中学から大学2年まではブーツしか履かなかった。安全靴や編み上げ、ワークブーツ、ゲッタグリップとかジョージコックスまでは良かったが、流石にデザインブーツはやはり耐久性が無く、気がつくとベコベコに成っていた。オーストラリア留学中に、色々な革靴を試したが、日本に持って帰って来れたシューズは一足も無かった。
 普段スニーカーを履く気に成らなかったのは、バスケの影響が強い。ナイキのバッシュは1ヶ月も持たなかったし、当時流行ったハイテクスニーカーで、試合に出ている人間は、うちの部活には1人も居なかった。というのも、ナイキのバッシュは、本格的なフットワークをすると3日と持たない。持つ人間は、僕らの間では「本気でフットワークをしていない人間」だった。おまけにあまりグリップしないのもナイキのバッシュの特徴だった。ほとんどがアシックスのジャパンか、ポイントゲッターで、僕はポイントゲッターを購入したが、それでも1年持たなかった。その後に購入したジャパンは今でも履けるが、それは耐久性がどうのこうのではなく、ただ単にそのジャパンでフットワークを何本もこなしていないからだろう。ちなみにポイントゲッターの値段は2万円台後半である。
 そのおかげでナイキのスニーカーを買う気には全く成れなかった。耐久性がない癖に、変に値段が高い。ソニーと同じか。モップ掛けされた綺麗なコートで履いていても壊れるような、耐久性の低いスニーカーを屋外で履く気はしなかった。しかし大学に通い始めると、周囲の人間はほとんどスニーカー派だった。裏原、ドメスティックが流行り出した時期でもあり、スニーカーに金をかける人間ばかりだった。僕は幸運にも、当時値段の高騰していたグラビスのスニーカーを格安で手に入れ、久しぶりにスニーカーで街中を歩いてみた。
 それまでブーツ一辺倒だった僕には、それはちょっとした衝撃だった。足は疲れないし、歩きやすい。何よりもレッドウイングを買うよりも全然安い。調子に乗って履いていたら、案の定数ヶ月で壊れたが、それでも「次もスニーカーを試してみようか」と思わせてくれるには十分だった。
 それ以降スニーカーを履き続けてはいるが、やはりインソールのヒール部分と、アウトソール、そして親指の付け根は直ぐにガタが来る。あれだけナイキを嫌っていた僕も、グラビス→アディダスと以降し、今は定番のエアフォース1ばかりである。ユーロ・フットロッカーであれば、それなりに面白いのが手に入るので、スタイルは崩さずデザインだけ変えてローテーションしている。それでもやはりナイキでは我慢できず、日本に帰る度にグラビスの購入を考えるのだが、そういう時に限ってデザインが良くないのである。
 スニーカーを直ぐに駄目にしてしまうのは、多分僕の足の使い方が独特だからだろう。剣道やサッカー、テニスやバスケなどシビアな体重移動が求められるスポーツをしてきたので、体を動かすと、すり足になったり、必要以上に踏み込む癖がある。その衝撃にスニーカーは耐えられず、親指の付け根からヒールまで一気にダメージが入るのである。シューズにはデザインよりも耐久性を求めたいのだが、そうすると必然的に買うものは決まってしまうのである。