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最近は写真日記。

「自分は他人より劣る」

容姿:日本女性「自分は他人より劣る」 4人に1人も

日本は全体的に、自分に対する評価が低い。外見的魅力に満足している人は、各国平均の37%に対し14%で、大きく下回った。「自分の外見を表すのにふさわしい言葉」として「かわいい」「美しい」を挙げた人は0%、「魅力的」もわずか2%だった。

 一方、ブラジル、アルゼンチンでは、半数以上が自分の外見的魅力や美しさに「満足」と回答。米国やカナダ、イタリア、ポルトガルでも4割が「満足」と答えた。イタリアでは17%が自分の容姿を「かわいい」、英国では20%が「魅力的」ととらえていた。

 オーストラリアにしてもイタリアにしても、「可愛い」「魅力的」という言葉は日常茶飯事だった。日本で「可愛い」「魅力的」という言葉を、何気なく用いると「え?お前、あの子好きなの?」と勘違いされることは良くある。イタリアでは「可愛い」「魅力的」「綺麗」というのは、本当に挨拶みたいな言葉で、他人を褒めることで会話が終わってしまうこともある。僕は自分に正直な人間なので、「可愛い」と思えない子には、「可愛い」とは言えない。自分が好きになった子に対しても、「ああ、君は一般的にはどうかなぁ」などと言ってしまうので、ヒンシュクものである。
 イタリア人の場合、徹底的に自分の彼女を褒める。「おいおい、何処をどう見ても可愛くないだろう。え?魅力的?は!?」と他人から見たら、大丈夫か?と思える程に、相手を褒める。イタリアにいる日本人女性の大半は、多分これにやられるのだろう*1。美的センスや好みは人それぞれなので、ここまでは問題は無い。
 僕は子供の頃から洋画ばかりを見ていた。金髪碧眼の俳優を見て育ったのだ。そうしている間に、知らず知らずの内に、「格好良い」「魅力的」「綺麗」=「洋画の俳優」に成っていた。それだけならまだしも、邦画を見ても、日本人の俳優にまるで魅力を感じなくなっていた。つまり「金髪碧眼」の西洋人は、「黒髪黒目」の東洋人に比べて、絶対的に美しいものだ、という美的価値観に支配されていた。
 これが壊れたのはオーストラリア留学をしてからであった。「金髪碧眼」は沢山いても、洋画で見ていた様な綺麗な人など全然いない。格好良い外人もしかり。体型は崩れているし、肌も汚い。生活マナーやファッション、教育などは、日本の個人差と対して変わりがない。逆に日本人の方が、マナー、ファッション、メイクに手を抜いていないし、平均的教育水準も高いのだと気づかされた。そこで初めて「金髪碧眼」だろうが「黒髪黒目」だろうが、「可愛い」「綺麗」「魅力的」な人間が、それぞれに存在していることを認識した。西洋人が絶対的な美の基準ではないことを、目の当たりにした瞬間であった。
 これがイタリア人にも同様の事が言えるだろう。「日本人好き」「日本人ヒイキ」のイタリア人は多い。もちろん同様に「日本人嫌い」のイタリア人も多いが、イタリア人男性の中では、日本人女性の人気は高い。オリエンタリズムなのか、兎に角東洋的なものに弱いイタリア人は数多い。それが日本、韓国、中国関係無く、一緒くたに「東洋」=「魅力的」と感じている人間が多いのだ。
 日本に留学のしたことのある学生が「綺麗」「魅力的」だと褒める日本人女性は、比較的わかりやすいものである。わかりやすいというのは、「は?どこら辺が?」とならないと言う意味である。逆に日本への留学経験が無い癖に、「日本人は美しい」と妄想満開の学生が示すそれは、僕にはほとんど受け入れ難いものなのである。もちろん日本に留学したことによって、「現代日本的美意識」をすり込まれた結果、日本で育った僕の美的価値観と共感した結果なのかもしれないが、リューシーリューを「綺麗な日本人」と勘違いしている学生よりはまだ現実味があるのだ。
 僕の中にあった「自分は他人より劣る」という美意識の根底には、「東洋人は西洋人より劣る」というすり込みがあった。それ以来何度となく植え付けられた価値観からの脱却を目指してはいるが、美的価値観の支配からは、ある程度逃れられた気がする。イタリア旅行に来た友人が、金髪碧眼を見れば「格好良い」「センス良い」と目をキラキラさせていたが、よくよく見ると、ただ金髪碧眼で、鼻が高いだけなのである。
 日本人女性の「自分は他人より劣る」という感覚は、もちろん僕が持っていた様な感覚とは違うものだろう。ただシステムとしては似たようなものなのではないだろうか。日本では日常的に女性を「褒める」男性はあまりいないだろう。それは「可愛い」と言ったが最後、「あいつはあの子の事が好き」という噂が立つのを恐れているからなのか。それとも日本語の「可愛い」と「綺麗」の間にある、言語に含まれる感情の差に敏感に成っているのか。ただ単に「自分を可愛いと思っている」人間が疎まれるからなのか。日本国内であればそのバランスは取れるのだろうが、国外に出ると普段褒められない子が褒められ、調子に乗って「外人カブレ」に成ったりするのだ。それもまたある意味バランスが取れているのかも知れないけれど。

容姿:日本女性「自分は他人より劣る」 4人に1人も
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20050507k0000e040018000c.html

*1:別にイタリアにいる日本人女性の大半が「可愛くない」というわけではない…