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最近は写真日記。

Adobe Photoshop & Illustratorと写真

 ある知人に「フォトショップで文字を印刷してもギザギザしちゃって、駄目なのよ。イラストレーターってソフトで印刷したら綺麗に文字も印刷できたのよ」と、彼女が作った絵本を見せてもらった。日本で展覧会があり、そのために作品を印刷して送らないといけないのだそうだ。彼女はPCに詳しくないので、友人に手伝ってもらったそうなのだが、ちょっとした苦労があったようだ。
 僕が編集の専門学校に潜り込んでいる頃、もっぱら使っていたのはPhotoshopかQuark Expressだけだった。PageMakerも触ってはいたが、基本はQuarkだった。Macを購入してあまり月日が経っていない頃で、兎に角Photoshopを扱えるのが楽しみだった。色々な雑誌を読み漁っていて、MacPhotoshopというイメージが、僕の中で勝手に構築されていたのである。しかし使ってみるとそう簡単にはいかない。自宅のMacにはPhotoDeluxeが入っていたが、機能がまるで違った。
 スキャナーで写真を取り込み、切り取り、フィルタをかけ、文字を入れて印刷する。きっと誰しもが最初に試みることだろう。現実的にはスキャナーの取り込み解像度と角度で躓き、写真の切り取りに四苦八苦して、フィルタをかければ爆弾。文字入れすると字間や行間に納得できない。結局、当初思い描いていたものと、かけ離れたものが印刷される。
 それでも最初の内は「ああ、これがデジタルの面倒臭さなんだぁ…。でも幸せ?」などと勘違いを楽しめたが、印刷物を作るにはあまりにも面倒臭かった。何よりも文字を入れた時のドットが許せなかったのだが、当時はその意味がわかっていなかった。何も疑わずにQuarkを使えば良いものを、「印刷できるんだから、いちいちアプリケーション切り替えなくても良いじゃん。起動に時間かかるし」とPhotoshopに固執していたのだ。
 Photoshopはペイント系、つまりはビットマップ。Illustratorはドロー系で、ベクトル。Quarkはレイアウトソフトだと言うことを後々知り、アプリの切り替えが何故必要なのか、と言うことをその時初めて学んだのである。
 それ以来写真の取り込み、補正、切り取りはPhotoshopで行い、文字入れレイアウトはIllustratorを使う様になった。Quarkを用いる程に、ページ物を印刷することはないので、まず出番は無かった。Photoshopに慣れ親しんでいた内は、Illustratorの操作感覚に困惑したが、それに慣れてしまうと逆にPhotoshopの方がIllustratorの補助ソフトに成ってしまった。チラシやフライヤー、ポスターなどの印刷物を作る時は必ずIllustratorがメインアプリケーションに成った。
 それから2年くらいして、大手のラボでバイトをする様になった。僕は中判、つまりはブローニーのプリントをしていて、1日に何百枚も焼いた。一緒にバイトをしていた幼馴染みは35ミリの担当で、1日に千枚を越えており、1年程そのバイトを続けた。僕が作業していた同じフロアにデジタル班があり、まだ出たばかりのG4がいくつか並んでいたが、何故かメインコンピューターはシリコングラフィックスだった。時々そこで中判フィルムの補正や修復をしたが、一つ驚いたことがあった。
 ポストカードや年賀状を印刷するときに、アプリケーションを切り替えずにPhotoshopだけで文字入れをしていたのだ。「え?大丈夫なんですか?ドットとか」と質問したところ、「ハガキサイズだったら、dpiを高く設定すれば大丈夫。文字もそこまで大きくしないし」と言われ、印刷されたものを見ると確かに問題は無かった。「へぇー」と思っていたが、後々聞くと「いや、俺あんまりイラレの使い方知らないんだよ」と笑っていた。
 結局の所使い慣れたソフトが一番使いやすい、ということなのだろうが、それが僕の場合はIllustratorだった。Photoshopを「使える」という人はそこら辺にいるが、「使いこなせる」という人はあまりいないだろう。特に素材無しで、ゼロから作品を作り上げる友人を見ていると、「僕にはPhotoshopは向いてない」と痛感する。Illustratorであればオブジェクトやベジェでいくらでも描けるし、何よりも文字入れの時の操作、仕上がりが僕の好みなのである。Wordで印刷物を作る人がいるが、Illustratorに慣れてしまった僕にはいちいちスペースを入れてレイアウトする方法が面倒臭くてしょうがないのである。
 専門学校に潜り込んで習得した編集、写真、PhotoshopIllustrator、そしてバイトで触れていた中判など、後々研究所で仕事をする時に大いに役だった。現場説明会や、報告書作成など、そのいずれもが基本知識だったからである。要するに大学では教えてくれないことばかりだったのだ。逆にWordやExcelはあまり得意では無いけれど…。