apoPTOSIS:mod.HB

最近は写真日記。

僕はバスケ部で彼女は:青春てこんな感じ?:承

 部活で号令をかけていた僕の声は大きくて、時々、練習してる彼女の耳にも届いていたらしい。彼女も負けじと大きな声を出しては、「今日、声聞こえた?」とか話ながら、部活後は一緒に手を繋いで帰った。部活が終わるのはいつも19時頃で、学校近くのサンドイッチ屋さんのベンチに座って、リプトンのミルクティーを飲みながら彼女を待っていた。サンドイッチ屋さんのベンチは彼女彼氏待ちの部活連中が多くて、お店のおばさんもそれぞれのカップルをしっかりと憶えていて、ある意味メッセージセンター的な役割も果たしてくれた。部活後に買い食い禁止の部活もあって、そういう先生から守ってくれたり。そりゃ、あの人たちからすればビジネスなんだけれど、僕らからすれば恋の味方をしてくれる人間は、無条件にいい人になる。その反対もあって、生憎と僕らの親は、僕らの恋に否定的だった。
 でもやっぱり恋にはある程度のハードルが必要で、他の子から告白されたりっていうイベントも恋の推進剤になった。学校という場所は社会から隔離されていて、僕らからすれば学校という社会が全てで、その社会の中で好きになった子がやっぱり世界の全てだった。だけれど、その恋があるのは社会のおかげで、つまりは学校という隔離された場所のおかげで、その場所を提供してくれる社会というものの存在に気がついた時に、今まで忌むべき存在だった職員室は、何だか哀れに思えて、それ以来先生方の苦労が見えてしまって、勝手に燃え尽き症候群になったりした。つまりはそれまでは職員室っていうか、生徒指導室は世界のコントロールルームと同義で、やつらを倒したらアガリだと勘違いしていた自分の小ささにも呆れたわけで。
 留学するまでつつがなく教科書通りに恋は進んだ。今では考えられないけれど、告白してキスしてセックスして、1つのイベントをこなす度に2人で盛り上がっては距離を置いたりして、やっぱり高校生の恋愛にとって「セックス」はちょっとしたゴールだった。僕は童貞で彼女も処女で、お互い「その内かな」とか言いながら、「え?もうやったんだ」って友達に言われるくらいの期間で済ました。彼女の感想は「とりあえず痛かった」で、僕の感想は「思ってたよりも気持ち良くない」だった。だから「セックスってあんまり気持ち良くないかも。今度は口でしてね」って言ったら「絶対そうくると思った。良いけど、口の中で出さないでね」って言われたけれど、結局口に出して殴られて「ぉえ、まず」って言う彼女を見ていたら、今度は僕が凹んだ。次の日、クラスメイトに「あははは、でも良いじゃん。口に出すくらいなら。私とかいつも飲まされたりしてるし」って二人して慰められた。
…つづく。