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最近は写真日記。

電車男:A True Love Story

 ZやSWは後回しで、とりあえず電車男を観賞。
以下、ネタバレあり。
 山田孝之のオタクっぷりは良かったし、中谷美紀の、「育ちの良さから醸し出される雰囲気」をイメージさせるエルメス役も上手く演出されていた。また名無しさん達に関しても、ネラー=オタクというイメージに囚われることなく、それぞれに日常に即したキャラを与えられている。エルメスの友人役を演じた西田尚美は、かなり僕がイメージしていたキャラに近かった。
 気になったのは山田くんの脱オタクの経過がかなり端折られていること。原作電車男での、髪型や整髪料に関しての的外れなネラーの書き込みと、エルメスPCに関しての彼らのアドバイスの的確さとの比較が面白かっただけに、そういった小ネタも入れて欲しかった。また当然の様に山田くんは格好良いので、服を買い、髪型を変え、表面的にも脱オタクした時には、シンデレラストーリーを早回しで見せられた気分になって少し萎えてしまった。確かに話し方などはまだオタクっぽさを残してはいるけれど、結局元が良いので、普通の青年に見えてしまう。一気に変身しないで、緩やかに変化が見られた方が自然だろう。そういう意味でも、髪型と整髪料に関しては「オシャレをすることに慣れていく過程」が一番分かりやすいところなので、それが映像として見えないのはやはり残念ではある。
 中谷美紀に関して言えば、「中谷美紀似の女性」をしっかりと演じているのは流石だと思えた。というのも、映画が始まりエルメス役を演じる中谷美紀が登場した時、「あれ?中谷美紀ってこんなに垢抜けなかったか?」と感じたからであった。髪を後ろでしっかりと結び、化粧も薄い。どちらかというと、幸薄そうな雰囲気なのである。僕の中では「中谷美紀=綺麗な女性」というイメージがあるので、これには少し戸惑ってしまった。その理由は後々、自分の中で答えが出た。電車男演じる山田くんがエルメスさんを妄想する時、中谷美紀の髪はほどけ、メイクもしっかりしており、衣装も華やかである。表情も豊で、正に「中谷美紀」そのままなのである。つまり現実のエルメスさんは、あくまでも中谷美紀似の女性であって、中谷美紀ではないので、電車男の妄想のエルメス中谷美紀であり、現実のエルメス中谷美紀似の女性という区別をしっかりと演出していたのだろう。それぞれのエルメスを演じ分けた中谷美紀の演技の幅には驚かされた。
 AAや一般的な2ちゃん用語もしっかりと脚本に取り入れられており、それぞれに演出され表現されていたので、違和感はなかった。ビルの看板を用いての演出は、最近良く見かける様になったけれど、2ちゃんの祭りの演出は良くできていた。
 物語に関して言えばかなり手を加えられている。原作ファンにとっては、少し違和感があるかもしれないが、ラストに関して言えば、「電車男エルメス女」id:ain_ed:20040605#p1で触れた、「オタクでも良いんじゃないのか」という僕の憤りが少し和らいだ。映画版では、エルメスさんに告白する場所は秋葉原で、電車男はメガネに百式のTシャツという格好で、この格好は映画の中では部屋着として扱われている。演出の狙いとしては、脱オタクスタイル後に身に付いたコミュニケーション能力が、またオタクスタイルに戻っても失われることが無い、つまりは結局のところ恋愛に大切なのは、表面的な問題では無く、その内容であると伝えたいのであろう。メガネ、百式Tシャツ、髪ぐしゃぐしゃであっても、エルメスさんはしっかりと電車男を認識し、「今日はイケてないですね」など言うことも無く、「頑張ってください」と手を握るのだ。
 個人的に受けてしまったことが一つ。電車男が使っていた携帯ストラップにはケロロとクルルがぶら下がっていた。僕のイタリアの携帯のストラップには、クルルがぶら下がっている。

電車男 A True Love Story
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