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最近は写真日記。

鋼の錬金術師:シャンバラを征く者

 ほとんど徹夜状態で鑑賞。場所は新宿。松竹プレイガイドでチケットを購入したので1300円。途中ウトウトすることもあったが、何とか最後まで意識は保てた。ツッコミ所は、doron_joeさんのところで書かれているので、それ以外に良かったところを。

 ネタバレあり。
 まずはジプシー達と共に登場するノーア。日本にいるとジプシーや難民問題はどうしても「外」のことだと思えてしまうが、イタリアに住み初めてから現実問題として捉えられる様になった。全てとは言わないまでも、日本で心配されているような、海外旅行での危険性、つまりはスリや置き引きなどは、イタリアではジプシーや外国人に依る場合が多い。例えばローマの地下鉄駅では必ずジプシーを見かけるし、ペルージャでも街中で物ごいをしている外国人は多い。またアルバニアやアフリカ、中東からの移民も多い。日本でも外国人に依る犯罪が増えているが、そういった移民に対しての対策などは慎重に行わなければ、作中で描かれた時代のドイツの様に、他民族を退ける様になってしまうのだろう。「外国人が移り住んで、ドイツ人が働けなくなってきている」という状況に日本がなった時、どのように対処していくのか見物ではある。
 個人的に楽しみだったのは、ウィンリィリザ・ホークアイの2人。ウィンリィのエドに対する思いと、リザの大佐に対する思い。純愛好みの僕としては、ウィンリィの「もう待たせてくれないのね」というシーンと、気球に乗り込むロイを必死で追いかけるリザのシーンは、ジーンときてしまうものがあった。またエドが鋼世界に戻ってきた時に、アルよりも早くエドと認識し、駆け寄り抱きついたシーンには「愛」を感じた。
 また死体を目の当たりにしたアルに、エドが諭した言葉。「この世界と無関係でいることはできない」というのは、並行世界であるドイツで戦後ヤスパースが講演した内容に被っていた。「この死体は、僕らが殺したわけではないし、戦争になってしまったのも僕らの所為ではないだろう。だけど、こうなってしまった原因には僕らは関係しているんだ」というような内容だったかと思う。ヤスパースは、「ナチスを生んでしまったのはドイツ国民全ての責任です。私たちがしっかりしていればナチスに支配されることもなかった」と、ドイツ国民が全てをナチスの所為にしようとしていることに対してブレーキをかける。その後、ドイツは日本とは違った戦後復興を遂げるわけだが、ヤスパースは特に「ドイツらしさの獲得」を国民たちに説いたのだった。
 全体的にサービスシーンが多く、そのためにテーマもぼやけがちだが、鋼の錬金術師が好きであれば十分に楽しめる内容である。ツッコミ所は沢山あったのだが、どうしてもという部分はやはり「扉の破壊」である。そこだけはどう考えても意味不明であった。

劇場版 鋼の錬金術師
http://www.hagaren-movie.jp/index2.html