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最近は写真日記。

老人ホーム

 最近問題になってる老人ホーム。ベッド柵や手を縛るなどの拘束をやむを得ず行っている、という施設長代理の人が言ってた。でも、あたしが働いていた特別養護老人ホーム=特養は、拘束廃止運動を実施していた。4本柵(ベッド四方を全てに柵をすること)・ミトン・安全ベルト(車いすから立たないようにするベルト)・拘束全てを行っていなかった。これは当たり前のことなのでは?と思う人も多いと思う。でも、実際これを廃止するのはとても大変。少し目を離さなくてはならないとき、やっぱりベッドから落ちないように柵をした方が安全だし、ミトンをしていた方が傷を触ることもない。安全ベルトをしていれば車いすからの転倒の心配もないし、手を縛れば点滴等を抜く心配がなくなる。これを廃止するのに一番簡単なのは職員を増やすこと。でも、職員に払う給料がない。ただでさえ、とっても安い給料なのに、これ以上下げたら職員はいなくなると思う。なので一番簡単な方法は無理。でも、あたしがいた特養は拘束をゼロにした。まずは、なるべくみんなでホールにいてもらうことにしていた。テレビを見たり、お話ししたり、レクをしたりして一緒に楽しんでもらっていた。これが楽しいと思ってくれたら、個室に籠もることもなくなって目が届きやすい。でも、強制はできないので、もちろん居室にいたいという人は居室へ。でも、居室内で立位が取れない人が、自ら車いすに移乗しようとすることは極々まれなこと。なので、ホールの一番近い居室にした。寝たきりの人も、ベッドから転落してしまう可能性がある。これもやはりホールの近い居室へ。これで4本柵を廃止した。次にミトン。傷口を触るということは気になっているからだ、という結論がでた。なので、できるだけ気にならないように処置した。軟膏を頻繁に塗布したり、通気性の良いガーゼを使用してむれないようにした。やはり痒みが一番気になるらしい。これでミトンを廃止。安全ベルトは、車いすから立とうをする人は、常に職員が一緒に行動した。夜勤中であろうとずっと一緒に行動した。←これは結構大変でしたが・・・。これで安全ベルトも廃止。最後は手を縛るなどの拘束。点滴など医療行為をしている場合は、ナース室にいてもらった。医療行為中はナースが付きそうことにした。これで拘束も廃止した。ただ、働いていて休む暇なんてなかった。でも、なんだか入所者の人が生き生きしてきたように思えた。やっぱり拘束はストレスなんだろうなぁって。でも、あたしがいた特養も、これをすぐに実行できたわけではなかった。何度も何度も会議して、拘束廃止委員が試行錯誤していた。何年かかったかはわからないけど、本当に大変だったと思う。
きっとうちの特養のようにできるのは珍しいことなんだと思う。職員の問題ももちろんだけど、入所者全てが寝たきりの人だった場合。入所者全てが車いすだった場合など、拘束廃止を実現するには難しい条件もあると思う。でも、できることなら拘束ゼロを実現してほしい。