apoPTOSIS:mod.HB

最近は写真日記。

貴族も見方を変えれば死に神

 貴族のYが遊びに来た。柄にも無く時間通りの到着で、こちらの準備が遅れてしまった。いつもであれば「13:00頃に行きますね」と言っておきながら、その時間に起きるのがYだったのに。ドMのIは、友人の結婚式でスケジュールが合わず、不参加。昼食を振る舞う約束をしていたので、とりあえずカルボナーラを作り、イタリアから取り寄せた生ハムとチーズを並べる。サルシッチャもあったので、解凍しようとレンジに入れておいたら、そのまま忘れてしまった。
 特に何をするでもなく、近況を報告しあう。リストラの結果、会社の経営が落着いたとか、主任になってるとか、未だに彼女ができないけれど元カノに上手く使われているとか、そんな話だった。「パソコンが壊れたんで、新しいの買おうと思って」と貴族のYが、僕のiBookを見ながら呟いた。すかさずMacを薦める。「今だったらMacもWinも両方できるぞ。10万位で」「マジっすか」と食い付く貴族。「よし、ビックカメラ行こう」と勝手に出かける準備を始めた。
 ビックカメラ到着後、Appleコーナーに導きMacBookを紹介しながらカタログを手渡す。「え?これくらいなら、買っちゃえば良いじゃん」と奥さんも薦め始めるが、「あんたじゃないわよ」と僕には睨みを効かせた。なんだかんだ貴族も「いや、今は絶対無理だけど、考えてみよ」と前向きに考えている様子だった。イタリアに居た時は「iPodなんて、何か負けた気がするから使いたくない」と言っていたが、結局最近iPodを購入し「やっぱいいわ、iPod」とAppleの魅力にはまりつつある様だ。
 ジュニアの大好物トミカコーナーに向かうと、様々なフィギュアが並べられていた。それらを目にした貴族が「最近、死に神に似ているって言われるんだよね」と言い出した。「ほら、デスノートだっけ?あの死に神」と言われ、確かにリュークに似ているなと、マジマジと貴族を見てしまった。どちらかと言うと、爆笑問題の太田が真似したリュークに似ている。
 その後カメラコーナーに向かい、デジカメ一眼用のケースと、ブロワー、レンズを購入し、ビックカメラを後にした。帰りの道で「やっぱりイタリアにいる時に比べてain_edは変わったの?」と奥さんが貴族に質問をした。何を突然と思ったが、とりあえず僕も質問を投げかけてみた。「イタリアで出会った時はどう思ってた?」と。「率直に言って、すんげー変わってるなって思いました。なんて言うか全然違う人間ていうか。特に恋愛観ですかね」と貴族は笑いながら答えてくれた。「何?恋愛観て?どんなこと言ってたの?」と奥さんは突っ込み始める。「結婚なんてただの契約で、子供が欲しいだけなら結婚しなくても良いだろ、とか。一緒に居たいだけなら、結婚しないで一緒に居れば良いだけじゃんとか」「ああ、そうそう、私にもずっとそんなこと言ってた。ガキ丸出しだな、本当に」とぐうの音も出ない。「だからこそ、あの時にあんだけ批判してたのに、すんなり結婚して子供作れちゃうって凄いなって。ファミリーの力ってやっぱり凄いんだなって思うわけですよ」と、結婚願望は相変わらず強い貴族である。
 彼のsmartが留めてあるパーキングまで送り届け、「それじゃ」とその場で別れる。彼女ができる雰囲気はまるでない。風俗は減ってはいるみたいだがそれなりである。週末も相変わらずクラブ通いだという。今まで彼女がいてもそれらを止めてはいなかった。秘密にして行っていたみたいだが、是非とも次の彼女には公にして行ってみたら面白いんじゃないかと思う。もしくはそれらに行かなくても良い彼女ができたら、結婚も近いんじゃないかと思う。
 何かを「我慢」する位ならば、結婚なんてしない方が良いと相変わらず僕は思う。「我慢」しなくても良くなった時、そういう人に巡り会えたら、もしくはそういう人に巡り会えた結果、「我慢」する必要がなくなるのであれば、それが最良の選択と成り得るのだろう。僕は牧場に興味が無くなっていた。もしくは今の奥さんに出会って牧場を解散しようと思った。そういうことなんだと思う。リスク分散型からリスク一括に移行したのは、それだけのリターンがあったからだ。何よりもそういう損得だけで動かなかった、というのが最もな理由と成り得るのが結婚なのかもしれない。
 帰宅して貴族のお土産を食べた。前日まで博多に出張だったらしく、博多うまいもんというお菓子と、博多明太子を持って来てくれたのだ。博多うまいもんは本当にうまかった。博多明太子はご飯が進んだが、「ちょっと私の何だからあんまり食べないでよ!」と明太子好きの奥さんに怒られてしまった。もちろん「我慢」はしなかったけれど。