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最近は写真日記。

ジョハリの窓とコミュニケーション力

 先日、社内セミナーを受けた。うちの会社は社外的にビジネスセミナーを商品として提供しており、内容もしっかりとしたものだった。今回の内容はコミュニケーション研究。導入部でジョハリの窓というものを使い、コミュニケーション力とは何かを明確化する。

自己には、「公開された自己 」(open self)、「隠された自己」がある (hidden self) と共に、「自分は気がついていないものの、他人からは見られている自己 」(blind self) もあるし、「誰からもまだ知られていない自己 」(unknown self) があると考えられる。

これらを障子の格子のように図解し、格子をその四角の枠に固定されていないものとして、格子のみ移動しながら考えると、誰からもまだ知られていない自己が小さくなれば、それはフィードバックされているという事であるし、公開された自己が大きくなれば、それは自己開示が進んでいるととる事が出来るだろう。


 ジョハリの窓-Wikipediaより。
 今回興味が湧いたのが、このジョハリの窓の活用法である。メッセージシートというものを用い、自分の仕事場のスタッフ、後輩・部下、先輩などから意見を求め客観を可視化する、という方法が紹介されたので、直ぐに僕も実施してみた。
 設問は3つ。対象は全て僕である。

1.「仕事をする上での能力や取り組む姿勢などで優れていると思われること」
2.「今後心掛けていくと更に良いと思われること」
3.「その他、メッセージをお願いします(今後私に期待すること等)」

 まずシートを目の前にして、スタッフに拒否反応がなかった。他人に対して何かを書く、という行為そのものが、ある意味一番のハードルが高いような気がしていたので一安心である。真剣に書いてもらったり、口語で書いてもらったり、表現は様々でもしっかり考えてもらっているな、という雰囲気が伝わってきた。スタッフに書いてもらっている間に、僕も主観でメッセージシートを記入する。以下、まずは僕の主観と、スタッフの反応という形で書き出してみたい。※表現はそのままではなく、 集約してある。

  • 1つ目

「仕事をする上での能力や取り組む姿勢などで優れていると思われること」
プライオリティを明確にし、効率良く業務が運用できる様努めている。
またコミュニケーションを重視し、制作のみならず、他部署との連携を心掛けている。

 が、僕の主観である。スタッフの反応を大別すると以下の通り。

  • 優先順位の棲み分け、決断と実行が早く、対応が迅速である。
  • 全体を見渡し、事前にコミュニケーションを図り、スタッフへの環境作りができる。
  • 報告・連絡などを含め、常に先を見通して予定立てをしているので、効率良く作業できる。

 などで、一番多かった回答が「コミュニケーション能力が高い」と、「対処が早い」というものだった。

  • 2つ目

「今後心掛けていくと更に良いと思われること」
自分のスタッフの管理をもっと徹底する余地がある。現状スタッフの倫理観任せになっているが、指揮命令者として組織の役割を全うするべきである。

 に対して、

  • 人材育成の面から、もっと業務を割り振れる様、業務分担を促進するべきである。(もっとスタッフに頼ってほしい)
  • スタッフありきの姿勢は仕事がし易いが、より仕事場としての雰囲気作りと、企業側目線での管理が望まれる。(優しすぎる)
  • 信頼の度合いを平等に、褒めたり起こったり、また他スタッフの意見に惑わされないように。

 が出てきた問題である。何度も書いていることだが、やはり管理者としては向いておらず、人材の育成もままならない様だ。が、ある意味今後力を入れていくところが見えた。管理ボーダーのベースアップと、人材育成。これがこれからの僕の課題でもある。

  • 3つ目

「その他、メッセージをお願いします。(今後私に期待すること等)」
社会人としての意識を持ち、節度ある態度で仕事に臨むべきである。また立場上の責任として、企業側からの目線でスタッフ管理をするべきである。

 に対して、

  • 業務の平均化の為に、何かできないでしょうか。また空いている時間など、いつでも声をかけてください。
  • ain_ed社員が居なくなった時が怖いです。

 が、業務に関することで、それ以外は一言、という感じだった。

  • ストレスを溜めすぎると病気になるので気をつけて。
  • ありがとう(3人から)

 などであった。今後も宜しくお願い致します、という言葉多かった。
 以上のアンケートとジョハリの窓を照らし合わせて見ると、別段大きなブラインドは見つからなかった様に思われる。現状、業務において自分に足りない部分は主観の範疇でもあった様だ。一点新たな発見があるとすれば、人材の育成である。円滑な業務を行う為に環境作りを心掛けていたが、逆にある一定レベルから人材が育たない、という状況が生まれた。つまりは業務の棲み分け(正社員・派遣社員)を行った為に、全体を見通せるスタッフが育成されず、結果的に不安感を募らせることになった。
 管理者としての成熟と、人材育成。社会人2年目の課題としては若干重い気はするが、メッセージシートの当初の意図として、自己のスキルアップに繋がるのであれば取り組む他無いだろう。また今回メッセージシートを実施したスタッフは僕の直下のスタッフであったため反応がわかりやすかったが、他部署に実施した場合はまるで違った答えが返ってくることだろう。そう考えるとジョハリの窓の使用には注釈が必要になるのではないだろうか。どこまでの他人なのか。そのレンジ(範囲)を事前に設定しない限り、適正なデータは取れないだろう。逆に、主観と客観が入れ違った時点で、コミュニケーション力範囲外と明確化できるのかもしれないが、元々が主観と客観のブラインドの明確化の為のテストであるために、コミュニケーション力範囲の測定には適さないのかもしれない。
 また今回コミュニケーション力、というものの存在性をある程度実感できた。それは力(パワー)ではなく、範囲(レンジ)である。どこまで自分のコミュニケーション力が通用するか。それはある意味僕の主観をすり込ませることで作用するものなのかもしれない。中心が僕だとすれば、僕のスタッフは周辺であり、他部署は亜周辺と位置づけられ、メッセージシートを亜周辺に行うと、主観と客観ではなく、客観の客観が派生する可能性がある。取り組みとしては興味深い内容なので、時期が来たら他部署の人間にランダムに行ってみたいと思う。