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最近は写真日記。

今ってどれだけやばいの?

 「フリーザに襲われてるナメック星くらいやばい」市況2で見たナイスな回答である。麻生さんに危機感がないのは、多分そうやって教えてくれる人間が周りにいないからだろう。オタクを自負している麻生さんなら、その表現でやっと理解できるはず、というか間違いなくそういう表現じゃないと理解できないんじゃなかろうか。

麻生さん、正社員の、しかも経団連企業のような大企業の正社員の「賃上げ」って、いったい何人くらいの非正規雇用を切らないと実現できないかわかってますかね。っていうか、今のこのタイミングでそんな大企業の“賃上げ”がまじで必要と思ってます?それがあなたのいう“雇用対策”なの??

 あまりに危機感のない人たち - Chikirinの日記より。
 全体の5割は頷けるので、気になる部分だけ言及してみる。景気対策セーフティネットは現状においてはどちらも必須である。そして一応給付金以外の部分で国費3兆円を要して生活対策が発表されている。既読だったらごめんね。詳細は「生活対策」でググれば良いと思う。重点は3つに分かれているのだけれど、しっかりと個人、地方、経済を対象としていて、個人においては雇用セーフティネットの強化が挙げられている。その中の一つに「賃金引上げ」も含まれていて、その他に非正規労働者の雇用安定対策の「強化」も盛り込まれている。そしてもちろんジョブ・カード制度の「拡充」もある。一応ながら景気対策セーフティネットの拡充という部分においては政府も考えている様子(的を射ているか外しているかは別として)。
 景気対策セーフティネットは現状においてはどちらも必須である。と書いた。セーフティネットがボトム(ベース)として機能するのであれば、景気対策はトップ(リード)として、ボトムアップ(ベースアップ)するための手段と成り得る。上値が抑えられていると下値を何度もトライするチャートの様なものである。

世界的な景気減速による「トヨタショック」などを受け、愛知県の神田真秋知事は1日開会した県議会12月定例会で、来年度の県税収入見通しについて「減額幅は2000億円を大きく超え、3000億円にも近づく可能性がある」と述べ、過去最大の減収となるとの見方を示した。

 東京新聞-tokyowebより。
 景気対策の一環である給付金は、消費者に対して行われる選挙対策用のばらまきであることは確かだ。つまり景気対策の本質はそこにはない。国内だけで見れば自動車販売台数が落ちているのは今に始まったことではない(収益が激減したことが問題なだけで)。要するにサブプライムローン問題なんて、日本には関係ナイナイって思っていたら、輸出(外需)頼りの日本経済が打撃を受けた。おまけに、まぁそれくらいは折り込み済みですからってある程度余裕だった輸出企業は、あまりに足回りの遅い日銀の利下げと、円高円安どっちにするの?しないの?の方向性が決まらない政府に引きずられ、決算期には散々な円高で追い打ちをかけられた。結果的に、おいおい輸出業やばいと県税収入もやばくないか?っていうか、自動車業界やばいと非正規雇用ほぼ全滅じゃね?、要するに外需がアウトだと国益そのものがノックアウトじゃね?と気がついたわけである。ファクトリー系派遣の6〜7割は就業先のほとんどが自動車業界に関係している。
 おまけにスタグフレーションの影響で個人の消費は停滞しているから、サービス業は散々なのである。円高還元セールを遂行しても、買うお金がないのである。裏を返せば「強い円万歳by80円榊原」をある程度信じて輸入業での内需拡大インフラを整えていれば、ここまで非正規雇用が契約終了にならずに済んだだろう。これはもちろん日本における金融危機の影響の一端である。
 要するに企業が活性化しない限り、雇用は生まれない。景気対策とは企業の為ではなく、企業がもたらす国益の為であり、人が足りなくなれば労働市場も活性化される。雇用の創造とはそういうことである。自動車業界が持ち直せば、またファクトリー系の案件は増え雇用は増大するのである。また賃上げの目的はスタグフレーションの解消だろう。が、原油価格が暴落している今、無理な賃上げはせずとも、企業が「価格改定」をして値下げすることができればある程度の解消は望めそうである(希望的観測)。ちなみに雇用問題において賃金の大小は離職に繋がってもモチベーションには繋がらず、賃上げしたからといって企業が活性化されるわけではない。何よりセーフティネットを形成しても非正規雇用問題の抜本的な問題は解決せず、一時的にホームレスを増やさない為のモラトリアムを提供してくれるに過ぎないだろう。非正規雇用が問題なのではなく、日本の正規雇用の特権性が問題なのである。
 そしてリセッションだと日本は円高になる。それは以前にも言及した。貿易黒字でありながら円安を保持できたのは外交努力と日銀の市場操作のおかげだろう。が、現状ではそれが機能していない。景気対策と聞くと「どこから手をつけますか?」となる。円高を受容し、内需拡大に努めるのか、円安に戻し外需頼りに戻すのか、前回のG20において日本は、というか麻生さんはドルを容認したけれど、円のレンジには言及していない。基軸通貨に対する日本の価値を策定することがまず一つの景気対策であり、急激な為替変動を起こさせないことが急務でもある。だって、麻生さんこのままいったら3月決算で輸出業やばいっすよ。対ドル100円とか、今95円とかで換算している企業、どうなりますか?死にますか?おまけに対ユーロに至っては暴落甚だしいですよ。何なの?バカなの?死ぬの?っていうか、この期に及んで公務員の給料が減らないって何?企業なら業績に依って賞与が左右されますが、企業が倒産寸前なのに賞与を出し続ける日本企業って何なの?←ちらしのうらです。
 要するにセーフティネットでボトムだけカバーしても、トップが上がらない限り、ボトム割れが見えている。おまけにセーフティネットを提供する国の財源も、企業からの収益と、消費者からの収益が下がり続ければ枯渇するだけである。その為には過去の資産である輸出業をまず再生する為に、円高回避策を講じ、これ以上のリセッションを生まないことが先決である。並行して輸入業を基盤にした内需拡大政策を行い、グローバル経済に対応できる(損切りが可能な)国内市場を形成することも必要だろう。自由経済は失敗、だから見直しってなレベルではどうにもならないと思うんですよ、実際。なんで、セーフティネットだけではダメなんですよ、って話を、社会人2年目30才男性が語ってみましたよ。気分はいつでも新入社員です。ちなみに企業的には2010年の上海万博とか、地デジ需要とか、消費税増税前の駆け込み需要を念頭においてたりしてるんで、後はやっぱり日銀の金利政策頼みって感じだと思うんですよ。