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最近は写真日記。

なぜサックスなのか

 週末は幼なじみの新居にお邪魔する。場所は港南区。埼玉からだと遠いと思っていたが、湾岸で行くと小一時間という距離。高速出口からも近く迷わずに辿り着く。もう1人の幼なじみも電車にて到着。最寄り駅から約7分だというから、アクセスの良い場所である。
 というわけで数年ぶりに集まった幼なじみ3人。確か僕がイタリアに行く前(2002年)に集まった以来である。1人は既婚で家の主。子供は2子で、長女がうちのちびジュニアと同じ2才である。過去に何度か書いた事があったが、車ディーラーの営業を経て、今は保険の営業をやっている。もう1人は僕がイタリアに行く同タイミングで渡米した男で、独身である。六大学卒業後、ユニクロの店長経て、今はアメリカでバイヤー的な職に就いている。最近では益若つばさとコラボをしたとかで、忙しそうだった。
 今回の目的は新居祝いでもあり、久しぶりの再会でもあり、30歳を過ぎて初めて飲もうか、という話しになった。行きがけに純米酒を購入したのだが、「まさかain_edが日本酒とは、ねぇ。というか、飲んで大丈夫か?」と驚かれた。それでも相変わらず3人とも煙草も吸わず、バカみたいに飲んだりせず、ただただ奥様(家の主の)の料理を食べることに集中する。煮卵とかチャーシューとか、グラタンとか、エビ春巻きとか、ポテトとか。ポテトにかかっているものを見て、うちの奥さんが「あ!凄いねぇ、青のりがかかっているよ」とジュニアに食べさせたら、「…パセリ、それ」と家庭環境の違いを思い知ったりもしたのだった。それにしても料理が美味しくて手が止まらず、幼なじみが「メタボになりつつある」という理由が良くわかった気がした。
 ビール瓶が転がり日本酒に進む頃には、食事からWiiに。「家でやったときに、あまりはまらなかったんだよね」という話しをしておきながら、Wiiスポーツのボクシングで汗をかく。「これもやってみようか」と差し出されたWii Fitボード。踏み台昇降てんやわんやになるが、フラフープでは家の主に並ぶ数字を出せた。WiiはヌンチャクコントローラとFitボードがあって初めてWiiなのかもしれないと、考え直す。
 帰りはアルコールを飲んでいない奥さんに運転してもらい帰宅。「どうだった?」と聞くと「誰に会う時以上に、家にいるときのain_edそのものだったから、私も楽だった」と返してくれた。「それぞれ個別で会っていると、こういう良い人がなぜain_edの幼なじみでいてくれたんだろうって不思議だったけれど、3人で会っている所を見てバランスなんだとわかったわ」とも。
 当たり前と言ったら多分当たり前で、幼なじみという位だから、幼少期を本当に共にしていた。「あんまり、別に、仲が良かったわけじゃないよなぁ」ともう1人の幼なじみは笑っていたが、多分今の人生の中で、親以上に一緒にいた奴らだ、と僕は思っている。時間があれば会っていたし、一緒に料理をしたり、一緒にお風呂に入ったり、一緒に寝たり。小学校から中学校までの密度と、高校から今に至る付き合い方、未だに関係を保っていられるのは、ある意味ファミリー的な距離にあるからだ、と僕は思っている。血の繋がり以上に優先され、いつでも意識の中にある。何より幼なじみ2人に関しては全く気を遣わない、と言っても良い(遣えよ、と言われるかもしれないが)。でも幼なじみだから「あいつはこういう奴だ」と思っているわけでもない。何があっても「そうなんだ」としか思わない。なぜなら僕にとっては、彼らが生きていることが何よりの優先事項だからだ。だから知らないこともある。わからないこともある。小学生の頃の様に、同じ経験を共有することもない。好きだ、という気持ちでもなければ、嫌いだ、という気持ちでもない。駆け引きで一緒にいる仲じゃない、そう思っている。
 だから「この人さぁ、わけわかんないもの買ってくるの」と奥様が苦笑しながら玄関の「良いジャイアン」を指さして、それが2万円もするものだったり、「結婚間近にサックスを買ってて、車の中で練習してたんだって」というちょっと変態めいた話しを聞かされても、「そうなんだ」で片付ける様にしたのである。ちなみにサックスは10万弱したらしいのだけれど、未だに捨てられずに持っているらしい。幼なじみ、プライスレス。