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最近は写真日記。

AFC

 オシムのサッカーに言及するのはこれが初めてか。毎試合、しっかりとチェックしていたアジアカップ。これが日本サッカーの現実なのだと思った。
 オシムが目指すサッカーは日本には合っていると感じる。個人のポテンシャルに依存するのではなく、チーム力で戦う。例えば、残念ながら日本にはサウジのマレクの様に群を抜いた身体能力とテクニックを持った選手はいない。DFに囲まれ様とも背負いながらボールをもらい、テクニックでかわし、自分で空いたスペースを探し、自らそこにボールを出し、DFを振り切れる程のスピードを持った選手は日本にはいない。いないのであれば結局のところ数滴優位をチーム全体で作り、ただシュートを打てる状態になるまで動き、パスを回し続けなければならない。しかしマレクの場合は個人プレイだけに走ることなく、チームが彼を活かそうとし、マレクもまたチームのために動いていた。
 オシムのイメージするサッカーは、僕が学んだバスケに似ている気がする。「身長とテクニックではバスケはできない。兎に角、走れ。バスケは引き算だ。5対5から2対2に持ち込み、最後は1対0の場所を作れ」それが僕が学んだバスケだ。数的優位を作るために、ボールの無いところで嫌と言う程走る事になる。それが成功すればボールを貰った時には、自分の目の前に敵プレイヤーはおらず、ただゴールにボールを入れるだけなのだ。シュートに集中するだけで良い。個人プレイに依存する局面は少なくなるのだ。
 しかし中には個人能力の高いプレイヤーばかりが集まったチームが存在し、なおかつ個人プレイに依存することなくチーム力を全面に押し出すチームがある。そういったチーム(ナショナル)はワールドカップに出場し、好成績(優勝するチームはそれだけではなく運がある)を納める。例えば全大会でのアルゼンチンや、今南米選手権でのブラジルなどが良い例だろう。
 残念ながら日本はそのレベルに達していない。世界リーグで活躍する選手が少数いても、後の多数はグッドプレイヤー止まりだ。チャンスを活かしきれず、ミスキックも多い。またボディバランスでも劣り、キープ力もない。日本国内では走れる選手であっても、世界大会に出てしまえば賞賛には値しない。世界的に『動ける』と評価されるには、結局のところ中田並の運動量を要するのだ。惜しくも、現在の日本代表のサッカーは、中田が最も活かされたはずのサッカーでもあるのだ。
 オシムジャパンの弱さを象徴するのは控え選手層の薄さである。今AFCにおいて、選手交替をしてから得点するシーンは見られない。また選手交替を上手く行えない、つまりは『切り札』と呼べる程の選手がいないのも、日本サッカーの現状を物語っている。結局のところ黄金世代と呼ばれた高原・中村世代以下が育っていないのだ。可能性としてU22にも選ばれている水野がいるが、動けるポジションが限定されている内は、ただただ経験を積むことしかできないのだろう。個人的には思いきって海外に行って欲しいと思うのだが。