apoPTOSIS:mod.HB

最近は写真日記。

ぼくらの:鬼頭莫宏

 なるたるでは「そう終わるかぁ」となったが、期待の新作。15人の子供がそれぞれの思いを胸に地球を守る。入り方としては至極ありきたり。15少年漂流記とエヴァを合わせたらこうなるのか。被ったのは絶対無敵ライジンオーだが、これはただ子供たちが地球防衛軍というだけかもしれない。
 テーマは相変わらず重い。これもIKKICOMIXで、吉野朔実鬼頭莫宏日本橋ヨヲコもそうか。IKKIの路線変更なのかもしれない。これで志村貴子遠藤浩輝が連載したら布陣としては僕好み。おまけで魚喃キリコとか。松本大洋のナンバーファイブは創刊号からの連載だが、それだけで良く今まで繋いできたもんだ。
 ぼくらのでは、相変わらず簡単に人が死ぬ。他人を殺せば自分も死ぬ。「他人を殺すも自分を殺すも、人殺しには変わりない」みたいなことを吉野朔実が作品の中で言っていた。地球を守るために1人1人死んで行くとなると、15人死んだ時点で終了なのだろうか。ただ気になるのはその中の1人だけが契約を交わしていない。流れとして、なるたるの二の舞いにならないことを祈るだけ。
 それにしても日常風景における死を描かせたら鬼頭莫宏の右に出るものはいないかもしれない。その点サイコにしてもデスノートにしても死を隔離し過ぎているのだ。生と死が特殊であって異質ではないこと。日常の全てがそれで形成されていることを描かせたら鬼頭莫宏がやはり最高の描き手かもしれない。遠藤浩輝もそれに近いのだが、鬼頭莫宏よりも思想が前に出ている分、死を象徴的に扱っているシーンがあるかもしれない。

「故意だろうが過失だろうが、そんなことは問題じゃない。俺達に絶対的に不足しているもの、生命を殺める体験。それは俺たちの強烈な糧になるはずだ。(略)殺される側のことも考えろって?より素晴らしい勝者の糧になるのなら、もうそれだけで存在意義がある。役目はそれで終わり。充分だろ。生命が地球上に氾濫するその理由、それはたくさん死んでも大丈夫ーなためだ。生命は使い捨てられるために続々と作られる」
鬼頭莫宏「ぼくらの」1巻