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最近は写真日記。

「ファールもさせてもらえなかった」

 漫画スラムダンクにて、湘北対陵南の試合で、仙道彰流川楓桜木花道二人抜きをした時の言葉。仙道に軽々と抜かれた桜木が、二人の間にある距離に愕然とする。
 僕の高校バスケ部の監督は「下手な奴がファールをされるんだ」と、いつも言っていた。確かにそうなのだ。サッカーではボディタッチが許されているが、バスケでは基本的にはボールマンに触れることは許されない。NBAの試合を見ていると良くわかるが、NBAでのファールの取り方は戦術的である。サッカーでもシュートの狙える位置ではファールをもらいに行くが、逆にシュートを狙っている場合でも意図しないファールをもらうことが多い。それはオフェンスとディフェンスの距離の取り方がバスケとまるで異なるからだが、バスケの場合は上手い人間程ファールをもらわない。そういう意味ではタッチフットに近いかもしれない。上手い人間はタッチされない。
 もちろんゴール下などでは故意的にファールをもらい、バスケットカウントを狙うが、シュートは絶対に落とさない。下手なセンターになると、自分の動きの緩慢さにファールをもらいながら、シュートも決められない。センターポジションとはスラムダンクで言えば、赤木剛憲のポジションである。スラムダンク作中でも表現されていたが、余計なファールをもらうことはプレイヤーとしては恥ずかしいことなのだ。
 バスケを始めてから僕にはそういう意識があって、日常的に人とすれ違う時や、出合い頭等で人にぶつかってしまった場合には、自分の不注意だったと直ぐに謝る様にしている。自分にはまるで過失が無いにしても、自分がそれを避けられなかったということで、自分が「下手な奴」と思わざるを得ない。
 サッカーを観ていると「今のはファールだろ!?」と審判に抗議するシーンがしばしばあるが、バスケをしていた僕からするとファールをもらえなくてプレイがマイナスに進むくらいならば、最初からファールをもらわない様にプレイをするべきだと感じる。そういう意味では中田が受けるファールなどはサッカー特有のファールと見ることができる。彼は自分のプレイを殺してまでファールをもらいにいったりはしない。それは多分無理にファールをもらわなくても、自分の力で切り開くことができる、という自信から来るのだろう。桜木が感じた「ファールもさせてもらえなかった」という意味が、スラムダンク読者にどれだけ伝わっているのだろう。