apoPTOSIS:mod.HB

最近は写真日記。

1億冊の感謝をこめて:スラムダンク:井上雄彦

 新聞を開いた瞬間に流川楓に目が釘付け。このタイミングでスラムダンクか。僕はもうぴったりスラムダンクと共に育ち、バスケをした。具体的に言うと、中学から連載が始まり、高校で連載が終了。遊びで5対5をやる時は、必ずスラムダンクの台詞を吐くなど痛いこともやっていた。ただ自分が本格的にバスケをプレイしていた高校時代は、スラムダンクとかなりの差があったことも確かだ。
 何故ならダンクができるかできないかで、プレイの世界がまるで違うからだ。例えばNBAはショーとして見ていて面白いが、高校生が現実的にできるプレイは数少ない。ダンクができるくらいの身長と瞬発力、それとパサーがいればそれに近いプレイはできるかもしれない。しかしダンクのできない僕にはそういった華やかなプレイからは遠ざかることしかできなかった。もし桜木花道がダンクのできないプレイヤーだったら、彼が努力し続けた練習メニューは本当に地味なものだろう。当然試合中に出て来るものも地味だ。しかしダンクができる。身長と瞬発力がある。そこに新しいプレイの世界が広がっている。過去にも書いた、越えられない壁を具体的に言うならばそこかもしれない。
 地道な高校バスケを終えて、大学でバスケを楽しみ始めた頃にスラムダンクを読み直した。30巻の流川楓には鳥肌が立った。大学で出会ったあるプレイヤーに被ったからだ。桜木花道がメインだとすれば、流川楓はサブの主人公。中学、高校時代は僕もバスケを習いながらだったので、目線はいつも桜木だった。しかし大学に入り、バスケを楽しみ始めるとスラムダンクは一気に流川楓の物語に変化した。
 宮城リョータ三井寿赤木剛憲、そして仙道や沢北。どのプレイヤーを柱にしても物語を進めることはできる。しかし井上雄彦桜木花道流川楓、2人のためにスラムダンクという作品を描いたのは、井上雄彦が本当にバスケを愛しているからだ。バスケを愛しているからこそ、描けるものがある。何故ならバスケを知らなければ、友情や恋愛、日常的な青春だけがメインの物語と成りえるからだ。最後までバスケットマンを描き続けたことが、何よりも彼がバスケットを愛している証拠なのだ。

「バスケットボールと、みんなに、ありがとう。」
井上雄彦

スラムダンク」1億冊突破朝刊6紙に全面広告
http://www.zakzak.co.jp/gei/2004_08/g2004081009.html
はてなダイアリー けにっき KeNiChiさんでも同様の記事が上げられています
http://d.hatena.ne.jp/KeNiChi/20040810#1092136366

スラムダンク (30) (ジャンプ・コミックス)