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最近は写真日記。

チ○コ勃った?:ぼくは、おんなのこ:志村貴子

 志村貴子の短編集である。表題作である「ぼくは、おんなのこ」は1997年の作品であるため、絵が若い。それ以外は敷居の住人の合間に書いたものだろう。「ぼくは、おんなのこ」は主人公が2ヶ月ぶりに目を覚ますと、世界中の人間が全て性が逆転していたという話し。つまりは男子は女子に、女子は男子に。お父さんがお母さんに、祖母が祖父にという風に。アイデアはありきたりだけれど、描こうとしていたことは素晴らしい。が、それを描くには何巻も懸けなければならないだろう。もし世界中の性が入れ替わったら?戦争も無くなるだろうか。この断片が放浪息子に生かされているのだろう。
 アケミのテーマ3部作も面白いが、個人的に面白かったのは花。お嫁さんに謝罪を申し込みに行く新幹線の中で、「超ストライクゾーンつーか」というくらいの美人さんと隣の席になる。何を思ったのか主人公は痴漢をするのだが、一瞬でバレる。そこから会話が始まるのだが、この短編集の中で1番テンポが良かった。こういうテンポで、この会話でやってくれると面白いと感じるのだが、同様のものは今のところ魚喃キリコの痛々しいラブの中の作品だけか。

「あら既婚者」
「はい、浮気がバレて、1度や2度じゃないのでいい加減呆れ果てて」
「実家帰っちゃったんだ」
「はい」
「それでまた太もも触っちゃって。ものすごい根性。私見てドキドキしてくれた?」
「いや、もう、超ストライクゾーンつーか」
「チ○コ勃った?」
「チ……、は?」

志村貴子「ぼくは、おんなのこ」
ぼくは、おんなのこ (Beam comix)