apoPTOSIS:mod.HB

最近は写真日記。

交番とピザハット

 財布の落とし物を届けに交番へ。日も暮れていたので、パトロール中だろうと予想していたが、案の定交番には誰もいない。とりあえず財布を置いてメモでも残して置こうかと思ったが、紙や筆記用具がない。さて、と考えていると、交番に誰かが入ってきた。
 入ってきたのはピザハットの宅配アルバイト。「あの、道を聞きたかったんですが、お巡りさん居ませんよね?」という。見た目は明らかに10代で、夏休みのバイトと言う感じだった。「僕も用事があったんですが、居ないようです。僕のわかるところなら教えますけれど?」と地図をのぞき込むと、彼は「え、あ、いや、今どこらへんかな……」と曖昧な返事をした。
 二人で地図を覗き込んでいると、「えっと、この道に出たいんです」と地図上の国道を指さした。そこは交番からはさほど遠くはない。「そうですね……」と説明を始めると、「はい、そこのピザハットに行きたいんです」と彼が言った。僕は意味がわからなくて「?」という顔をすると、「いやー、帰り道がわからなくなってしまって」というので思わず吹き出してしまった。
 どうも彼は他店からヘルプで来たらしく、初めての土地で道を知らないらしい。彼は帰り道を理解するとヘルメットをかぶり、ピザハットの原付きで帰って行った。残された僕は、壁に掛けられた黒板に気づき、「サイフの落とし物です」と書いて帰宅した。
 過去にも財布の落とし物を届けたことがあるが、交番の対応が酷く、財布の中身を僕が盗んだのではないか?というような質問が続いたのだ。それ以来なるべく落とし物は交番に届けたくない。事件の第1発見者を疑ってかかるのは捜査の基本なのだろうが、決めてかかるのではその内に誰も警察に協力しなくなる。それにしても、ピザハットのアルバイト少年はしっかりと辿り着けたのだろうか。