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最近は写真日記。

Bar Marikoでカフェラテを

 id:barmarikoの店主Marikoには、本当にお世話に成りっぱなしである。彼女が働いている時にはいつもカフェラテをおまけしてもらったし、ヒモジイ思いをしている時にはいつも料理をご馳走してもらっている。また行動力と、その早さ適確さ、そして何よりも彼女の度胸はペルージャで1、2位を争うものである。
 彼女がペルージャに来たのは僕と同じ2002年のことだった。その当初から既に彼女は、日常会話程度のイタリア語能力があったので、周囲の人間から頼られる存在になっていた。後から知ったことだが、過去何度もイタリアには来ていたという。最初の3ヶ月は話す機会にあまり恵まれず、道端で会っても「こんにちは」と挨拶をするくらいだった。
 年が明けてクラスが同じになったが、その頃にはMarikoはBarとPubで働き始めており、彼女は授業どころではなかった。ちなみにBarは喫茶店、Pubは居酒屋のことである。つまり朝から昼にかけてBarでカフェを入れ、夜はPubでビールを入れていたのだ。その空いた時間を使って彼女は授業に顔を出していたが、いつも眠そうな顔をしていた。僕は最初の3ヶ月で「何て暇な国なんだ、ここは」と思っていたが、そんな国で日本人の働きっぷりを見せつけているのには脱帽だった。
 すると結局話題は仕事の話しばかりになる。「給料はいくらか?」とか「イタリア人の仕事ってどう?」とか。今でも憶えているのが、「しかし何でイタリア人って、ああも安直に金儲けの話しをするのか」である。当時僕はイタリア人とシェアしていて、そのイタリア人が事ある毎に「日本と貿易がしたいんだ。日本に無いものを扱って、金儲けしよう。君が日本語をイタリア語に訳して、僕が商品を取り扱うから」などと、30を過ぎた男性が真剣に言うのだ。夕食後の食器を「明日は必ず洗うから」とそのまま放置する男に、商品を任せられる訳がない。Marikoも仕事場や、一緒に住んでいるイタリア人にそういう話しを嫌と言うほど聴かされており、「イタリア人の浅はかさ」にストレスが溜まっていた様だ。昼の学食で言いたい放題だった気がする。
 日本の企業でバリバリ働いていた彼女にしてみれば、イタリア人が思いつく「安直なビジネス=楽をしてお金を稼ぐ方法」など、子供だまし以外の何ものでも無い。日々の生活において責任転嫁ばかりしているイタリア人と個人で仕事をするなど、よほど恵まれた環境でない限り考えられないのだ。遅刻すれば言い訳して、約束をすっぽかせば言い訳して、外国人につっこまれれば、「まぁ、イタリアはそういうところだから」と言い訳するのである。
 と、こんな話しを主にしていた様に思う。よくよく考えて見ると、今でも会って話す内容はあまり変わっていない。それは彼女のブログ、barmarikoを覗いてもらればわかるのだが、イタリアに対してのそれは、愛なのか憎しみなのかは、今のところ誰にも判断ができそうにない。ただ彼女がブログ内の1つの記事をイタリア語に訳して、イタリア人の友人に配ろうとした際に、共通の友人であるアンドレアに「…ねぇ、Mariko。君は2年もイタリアに居るけれど、本当にイタリアが好きなのかい?これじゃ、心底憎んでいるみたいだよ。もう訳すの止めようよ」と訝しがられたそうだ。

barmariko
http://d.hatena.ne.jp/barmariko/