apoPTOSIS:mod.HB

最近は写真日記。

地震、危険

 今日は店の手伝いで珍しく朝から果物屋におり、地震が起こった瞬間もお客さんと話をしている最中だった。母親が「あら、地震?」と言った次の瞬間に一気にグランと揺れた。我が商店街は、築30年の歴史を持つマンモス団地内にある。1棟、14階建てで、1~15号棟まであり、商店街はその1階に位置している。子供の頃「ここで地震があったら、絶対に1、2階はペシャンコに潰れるだろう」と思っていた僕は、地震が起こった瞬間に店から飛び出て、頭上を見上げた。すると建物の14階部分があり得ないくらい揺れ、コの字型の中央部であるエレベーター棟と、両翼の接続部がこすれ合いながら、ミシギチガチと聞こえてはいけない音を奏でていた。
 すると「危ないから!中に入った方が良いよ!」「逆に危ないって!」と、果物屋の隣店である、肉屋と八百屋の店主が僕に向かって叫んでいた。(いや、でも外に居ても危ないくらいの地震であれば、店内に居ても同じだろう)なんて、不謹慎ながらも実はちょっとドキドキワクワクしながら、建物の揺れを楽しんでいた。結局言われるままに店内に戻ると、父親は必死に並べたばかりのスイカを抑えていた。
 商店街のある棟群は特に問題はなかったものの、団地内で最も老朽化が進んでいる番号の早い棟では水道管が破裂し、その流れ出た水によって電気系統も漏電しているという話しだった。地震発生からちょっとして全棟のエレベーターは使用停止になり、店で買い物して行くお客さん達はそれぞれに不平不満を残していった。昔馴染みのお客さんに至っては、「沢山買い物したら、一緒に荷物持って、階段上ってくれるかしら?」なんて等価交換条件を出されて、果物以外にもクリーニング上がりの荷物何かを持ってお客さんと一緒に階段を上ったのであった。
 ちなみに他のお客さんはエレベーターの愚痴と共に、「あら、帰ってきてるの?」「ええ、夏休みで」「じゃあ、今日はお手伝いだ」「邪魔してるだけなんですけれど」「ああ、だから地震が起こったのね」なんて皮肉を言われただけである。