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最近は写真日記。

島耕作的出世とは

 ひょんなことから勤め先の給与テーブル詳細を見ることになった。ビジネスマンも結構大変だと思った。今の事業所の事業所長は新卒入社、勤続15年で、主任級である。そんな主任は「できる人」側の人間であり、エリート部類である。だが我が社の管理職テーブルを見ると、主任が一番下で課長代理になるまで「監督職」扱いで、管理職扱いにはならない。ちなみに主任から課長代理まで2つの役職があり、課長代理から本部長まで5つの段階がある。ちなみに僕の所属先の運営トップは課長代理で、その上はいきなり取締役部長になる(つまりその間の4役職が不在である)。
 島耕作は課長だったかと思う。僕は未読だが、Wikiを見る限り、入社6年目で主任、その数年後に係長、入社13年で課長に昇格している。一般企業の管理職位がわからないがその後は部長、専務、常務、社長と、とんとん拍子である。ちなみにうちの会社では部長と呼ばれる人々が役員だったりするのだが、島耕作は入社22年で部長になっている(取締役に着くのは29年目のことである)。
 企業の規模にもよるが、出世とは案外と難しいものの様だ。うちの会社の伝統だと課長職以上はかなり難しいらしい。つまりは10年ほどかけて主任になり、そこからまた10年ほどかけて課長代理になる。課長になるにはそこからまた5年ほどかかる様だ。島耕作のスタート地点は、我が社でいうところの25年目くらいの位置である。今のところ、そんな社員を見たことがない。唯一、今の所属先に31才にして係長という強者(しかもイケメン)がいたが、後数年で課長はさすがに厳しいだろう。
 アカデミアの道を歩いて、講師→助手・助教→准教授→教授の道のりは大変に厳しいものと認識していたが、同様にビジネスマン社会も厳しいものと認識を改めた次第である。
 それでも相変わらずアカデミア社会でのサバイブは、ビジネスマン社会のそれとは比べものにならないほど困難だと考えている。なぜならビジネスマン社会にはジョーカーがある。平社員からいきなり社長になれる切り札がある。起業できる、という選択肢はやはりビジネスマン社会では最強の切り札だろう。言うまでもないが学生からいきなり教授には成れない。そこにジョーカーはない。その遊びの無さが、アカデミア社会での生存率を下げる原因でもある。
 またビジネスマンは平でも生活していけることができる。島耕作の様に出世しなくても、それなりの生活を営める。アカデミアはどうだろうか。いつでも崖っぷちである。私塾を起こし、在野の研究者として存在できたとしても、研究それだけでは生きていけない(研究=金、という意味ではなく現実的な問題として)。
 生存する上での政治力的にはどちらも似たようなものであるが、政治範囲はビジネスマン社会の方が広範囲である。アカデミアであればその内側に専念すればある程度の成果が望めるが、ビジネスマン社会ではどちらかと言えば外向きの政治力が必要となる。言うなればクライアント(外)を用いた、自社(内)への政治圧力が効果的である、と考えている。
 僕は出世には興味がない。政治的に生きて、上に行こうとは考えていないが、如何にして給料を上げられるかはいつも考えている。肩書きよりも、給料が上がれば良い。が、現実的には肩書きが変化しない限り、給料は上がらないのだ。求めれば上がるだろう。今の肩書きも「今の仕事で平社員と同等はないです」という進言の結果、付いてきたものだ。今以上に給料を上げるためにはまた上がるしかないのだろう。もしくは切り札を切るか。転職をするか。悩みどころである。