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最近は写真日記。

大学の授業と教科書

 大学の授業で用いる教科書は、日本の大学の教科書の様に高価である。また、日本では通年で一冊の教科書(教授が書いた本など)を用いる場合が多いが、ペルージャ大学では違う。1カ月毎にモジュールが区切られているので、1モジュール毎に使う教科書が変わる。また1モジュールで2冊から3冊以上を用い、本1冊の値段は20ユーロを軽く越え、美術系になると1冊50ユーロは当たり前になってくる。日本であれば大学の近くには必ず古本屋があって、教科書を格安、もしくは半額くらいで販売していたりするが、ペルージャの古本屋では大学関係の本は売られていない。
 また書店にしても、注文してから取り寄せになるので1冊の本を購入するのに酷く手間がかかるし、日本の書籍のように版が揃っているわけではないので購入後の保管に手間がかかる。それらの問題に対する、イタリア人学生の対処法は至ってシンプルだ。ペルージャの町中にはコピー屋が数多く存在している。そこで学生は教科書をひたすらコピーするのだ。店に依っては、彼らで教科書のコピーを用意してそれを販売したりする。20ユーロの本が7ユーロ程で、コピーされ綴じられる。
 元になる本は、クラスメートで分担して購入するか、図書館から借りてくる。ほとんどの場合、コピー屋にオリジナルがあったりするので、本を購入する前に予め情報を仕入れておく。大学生のほとんどはコピー本で授業を受けているが、法律では本のコピーは違法とされている。日本に居た頃はコピーに失敗すると、紙を無駄遣いしないようにメモ用紙として利用していたが、ペルージャに来ると紙の無駄遣いという概念が存在しないのか?というくらい紙を消費する。
 ペルージャ外国人大学でイタリア語を学んでいる時は、他の外国人にしてもしっかりと教科書を購入していた。古本にしても何にしても、オリジナルの本を使用する。値段も20ユーロくらいだが、3ヶ月で2冊が基本になるので、それを考えると購入しても良いと思える。もちろん4、5レベルになると話しは変わってくるが、それでも上限は決まっているし、そのレベルまで受講する生徒は教科書を友人から譲り受けたりする場合が多いようだ。
 コピー用紙のサイズは決まっているので保管や持ち運びも容易で、書き込みや貼り付けなど、生徒の好きな様にカスタムできるのが利点だろう。高い本を購入すると、書き込みや貼り付けなどは躊躇するし、持ち運びにも気を使う。そういった意味では勉学にはもってこいのコピー本だが、著作権や紙の無駄遣いを考えると、イタリアが先進国の仲間入りをするためには越えなければならないハードルがあり過ぎる気もする。教科書専門の古書店を併設するか、教科書関係を低価格で販売すれば越えられる問題だろうが、一般に書籍が高価なイタリアではそれすらも難しいのが現状である。