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最近は写真日記。

スローフード

 日本でもスローフードが人気の様だが、どうやっても根づく気がしない。本当にスローフードを根づかせたいと思うのであれば条例や法律で午後の12時〜16時の間に少なくても2時間の昼食休憩を入れなければならない、とか公布させて施行しなければ無理だろう。また日本人の食事マナーとして、食事中は話しをしない方が良いという傾向があるがそれもスローフードに反する。スローフードはゆっくり食べることではなくて、人とコミュニケーションを取る場であり、食事は二の次になるから結果としてファーストに較べてスローになるのだ。
 日本人が食事をすると、僕を含めて、食べることだけに専念してしまう。食事を楽しむと言うよりは、お腹を一杯にするという意識の方が強い。日本で働いたりすると昼食時間は1時間も取れない。昼食を取りながら仕事をしたり、昼食さえ取れずに仕事を続ける人も多いだろう。日本人からすればそれは当たり前で、それが当たり前という意識が一般的であればあるほどやはりスローフードという考え方は日本人には合わないものである。
 イタリア人はどれだけ忙しくても昼食時間はしっかりと取る。もちろん中には本当に忙しくて軽い食事で片づける人も居るが、それでも日本に較べれば十分に昼食時間を取っているだろう。イタリア人と約束をしても13時から15時の間は、ランチの時間だからと基本的にその時間には用事を入れたりしない。日本であれば12時から13時の間はお昼休みになるだろうが、逆にその時間でしかできない用事もあるし、お昼だけに専念することができない。時間を無駄にするという意識がスローフードには向いていない。
 今日できなかったらば明日やれば良い。明日できなかったら明後日。どうして今日じゃなければいけないの?という考え方がイタリア人的であれば、今日できることは今日やりましょう。明日のこともできれば今日やりましょうというのが日本人的であって、要するに暇というのは最低の時間の使い方だという観念があるようだ。
 ファーストフードにスローフード。ファーストライフにフローライフ。どちらも一長一短でどちらも1個人だけでは成し遂げられない。結局のところそれは自分で選ぶのではなくて、自分が属している社会に拠って決められてしまう。しかし自分がファーストライフの社会が合わないのであれば、フローライフの社会に属し直せば良い。そこには様々な困難があるだろうが、本当にスローライフを望むのであれば無理をしてファーストライフの社会にいる必要性はないし、その自由が認められているのが現代である。