apoPTOSIS:mod.HB

最近は写真日記。

三四郎と富士山

 昼間に友人に会い、夕食後そのまま3人で富士山へ。本当だったら最初から富士山へ向かい、頂上を目指すはずだったが、あまりの道の混みように断念。久しぶりの再会だったので色々を話しをして、22時頃、道が空いたので高速で御殿場に向かう。僕は富士山に登ったことが無かったので、友人はどうしても僕を登らせたかったらしい。
 しかしやはり登山者で混んでいて、5合目の駐車場に入れない。やむを得ず途中で車を止めて登れるところまで登る。あまりの星の美しさに一同ぼう然。プラネテスや、「誰か聖闘士星矢のクロスの箱を背負って、山を降りて来たり!」なんて話しをしながら星を見る。1時間程道端に座って話しをして山を下る。山道は明かりもなく暗い。「何が見えたら怖いでしょう?」という話しをしていて、「沢山の手が車に張り付いている」は「リアル過ぎて怖い」ので、「バス停で、メイを背負った父を待つサツキがこの暗やみの中にいたら怖い」に決定。途中で野生のシカを見たり、「あれはシシ神だ」なんてバカ話をしながら友人を送りながら帰宅。
 初めての富士山。本当は日の出を見る予定だったが、その余裕は無かった。色々な意味で富士山をなめていたからかもしれない。次は確実に頂上まで登り、日の出をみることを決意。
 富士山を遠くから見る事は日常的にあったけれど、その度に夏目漱石の三四郎、作中の言葉を思い出した。
「こんな顔をして、こんなに弱っていては、いくら日露戦争に勝って、一等国になってもだめですね。もっとも建物を見ても、庭園を見ても、いずれも顔相応のところだが、ーーあなたは東京がはじめてなら、まだ富士山を見たことがないでしょう。今に見えるから御覧なさい。あれが日本一の名物だ。あれよりほかに自慢するものは何もない。ところがその富士山は天然自然に昔からあったものなんだからしかたがない。我々がこしらえたものじゃない」ー夏目漱石「三四郎」
 ロンドン留学した夏目漱石の失望が伺える。富士山とFUJIYAMA。世界的に美しく有名でも世界遺産に登録されなかった理由は何だったか。その答えはまるで漱石の皮肉の様に思われて仕方がない。