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最近は写真日記。

種の保存と雄と雌と攻殻機動隊

 id:KEN_NAITOさんの2004-10-11付けのコメント。

個性ってな本来, 「種の保存」のための戦略だからねえ. 環境が変わってもダレかが生き残る, みたいな. 人間としての魅力のために存在するモンじゃなくて.

 ここで身体的、もしくは精神的、どちらが最初に個性として生まれるのかは当然の様に棚上げしておく。両方同時に、もしくは後天的にでも何でも良いが、とにかく棚上げ。
 僕の専門では無い上に、遠く離れてしまっている生物学の分野だけれど、雄と雌の存在意義の説明は多分義務教育レベルには答えられるはず。というより、本当は詳しい人に聞いて見たかった。
 雄と雌、性が別れることによって遺伝子の配合を繰り返し、外敵*1への耐性を付けるため。例えば染井吉野の様なクローンであると、遺伝子の変化が行われず外敵に対して脆い。雌雄同体の場合も、その危険性がある。つまり種の保存のために性が分岐することによって、それぞれの個性が生まれ、それが配合されて種は保存されていく。突然変異にしても種を残すことができれば、新しい環境に対応する可能性として、その遺伝子を持ったものだけが生存していくことができ、種の絶滅を防ぐことができる。
 こう書いてみると、やはりもう一度理科から始めようかと凹んでみたり。旧課程で、高校1年から生物は学んでないとか言い訳しておこう。どなたか詳しく教えてください。
 とりあえず僕が考えている「種の保存」のための個性の取得とは以上の様な感じである。多分KENさんが云わんとしていることは、もっと色々なことを含んでいるのだと思うが。残念なことにKENさんは、攻殻機動隊 Ghost In The Shellを見ていない。そういう意味で僕の近くに居なくて正解だったかもしれない*2
 僕が攻殻機動隊を見たのは1995年だから、16歳に成ってからである。以前「攻殻機動隊Ghost in the Shellid:ain_ed:20040225にも書いているが、初見の時は、とにかく意味がわからなかった。その当時の僕が読み取れたことと言えば、「生物など結局はプログラムと電気信号の集まりだ」ということくらいか。後は人の形に似せて作ったとしてもゴーストは生まれない、とか。自分の脳を見たことが無いのに、どうして今居る自分はただのプログラムされた人格だとは疑わないのか、とか。それぞれのテーマで一つのアニメができてしまいそうな感じはした。
 当時はPCの進歩が著しく、それに反応してハイテク、SF漫画が色々と登場した。「ハックして他人を乗っ取る」という方法は特に真新しくは無かったが、それをもっと掘り下げ、世界観をしっかりと構築した漫画は攻殻機動隊だけだっただろうか。特に電脳化、義体*3故のゴーストの存在というのは面白くて、それを1995年に映画化してしまったという点で評価に値するだろう。

万物連鎖論に基き、攻殻では『ゴースト』は物質ではなく、ある一定の複雑さに達したシステムに発現する『相』または『現象』とされている。

脳全体が前進をめぐる神経ネットの一部でありシステムの部分に過ぎないので、内蔵を除去した場合、その存在を疑似信号により徹底的にリアルに再現しないと自律神経が消失し、ゴーストも消失してしまう。
他のボディーに無理にゴーストを移す場合は、システムの総体の違いからゴーストは劣化してしまう。

攻殻機動隊PKI - B-Wiki - FAQより
http://gispki.myhome.cx/modules/bwiki/index.php?FAQ

 多分KENさんの云うところのシナプスの問題は設定としてはクリアしているはず。そしてKENさんが悲観している理由も何となくは伝わってくる。

他人の経験をベースにしたデータと, 自分の意思との相互作用

 が可能になった場合に、「自我」というものが何処まで必要なのか。「種の保存」のためには、遺伝子さえ残れば良いわけであって、個別の自我の重要性といったら人間が信じている程重要ではないのかもしれない。問題が最初の「棚上げ」に戻ってしまった。
 サイボーグになり、生殖機能を失えば種の存続は難しい。人工受精は可能だろうが自然環境の変化に逐一適応できるかは、やはり自然受精のランダム制に従った方が生物としては自然だろう。生殖機能だけを残し、サイボーグ化してもその影響は少なからず遺伝するだろう。記憶と経験の保存に固執すればする程、種の保存からは遠ざかることになる。そういう意味では攻殻機動隊の世界の様に電脳化だけで、それ以外は生身の身体で生きるのが、一つの進化の可能性とも言える。
 こういうことを文系が書くと、「で、それがどうしたの?」という方向に話しがいってしまう。やっぱり理科からもう1度出直そうか。

*1:共生不可能な危害者

*2:僕の実家に遊びに来た人間はことごとく、「この本が面白い」「この映画が面白い」「この漫画が、アニメが」とほぼ強制的に積み上げられていくからだ

*3:攻殻機動隊の中でのサイボーグ化を意味する