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最近は写真日記。

社会学入門:三田宗介

バスを待つ時間はむだだという感覚はなくて、待つ時には待つという時間を楽しんでしまう。時間を「使う」とか「費やす」とか「無駄にする」とか、お金と同じ動詞を使って考えるという習慣は「近代」の精神で(“Time is money”!)、彼らにとって時間は基本的に「生きる」ものです。

事実の問題としていうなら、〈交響するコミューン〉の具体的な形は、少なくとも今後幾世代かの間、(もしかしたら永遠に、)その大半が、「家族」という集団の形式をとるだろう。
ー略ー
この意味、〈交響するコミューンの自由な連合〉という社会の構想が、「保守的」なものであることを、否定しようとは思わない。ただ〈交響するコミューン〉は、家族ではない形態であってもよいと考える点で、原理的にラディカルな地平に立っている。「家族」はこのように、いったん脱絶対化された上で、それが自由で幸福なものである限りにおいて、惜しみなく祝福されるべきものである。「例外的」というほどに少ないものではない。抑圧的な不幸な家族は無数にあるが、自由な幸福な家族もまた無数に存在している。

三田宗介『社会学入門』岩波新書