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最近は写真日記。

僕はいつになったら結婚の意味がわかるのか

 ノリだけで彼女を作ることに飽きた高校の頃。「好きなんだけれど。でもつき合ってくださいっておかしいよね。君も僕のことを好きだと言ってくれたけれど、こうやって告白することによって僕らは「彼氏」と「彼女」に成るのかな?告白前は、お互いが片思いだと思いながら、実は両思いだったし。自分の気持ちを伝えて、僕らの距離は近づいたけれど、だけどそれで君は僕の「彼女」になって、僕は君の「彼氏」に成れるものなの?」と、当時の彼女に話したことがある。
 「好きならば、好きなんだよね。「彼女」だから好きなわけではない。君は君で、そうやって生きている君を、僕は好きなのだから。僕は好きだと思ったものは多分ずっと好きだから、そういった思いはあまり変化しないと思う。恋人同士になって、別れて、それで嫌いになるくらいならば、きっと好きになったりはしないと思う」とも言っていた。純愛思考である。
 実際は、告白をして他人との距離が縮まり、自己と他者を知ることになる。そうなると告白をする以前は、彼女の何処を見て好きになったのか見失う可能性もある。逆にそれに気づいて始めて、他者という存在を受け入れることができるのかもしれないが、できない場合は別れという結末が待っている。ただ恋人としてつき合っているのであれば、その別れは自分次第なので、ある意味容易だろう。
 結婚になるとそうはいかない様だ。恋人同士であるために、親の同意は基本的に必要ないだろう。未成年を過ぎれば当然である。しかし結婚に関しては、僕の周りでは未だに「親への挨拶」などのルールが存在する。まずそれがわからない。恋人同士で居る時は、そこまでお互いの家族に積極的に関わらない。しかし結婚という契約後は、何故か家族間での関係が重要視されることになる。もちろん好きになる対象を育ててもらった恩義はあるが、日本では宗教的意味合いを持たない以上、結婚自体は本人達の問題であるはずなのだ。
 研究所に居た頃、主婦の方々が数名いたが「そんなに考えないで、とりあえず結婚してみたら良いじゃない。減るもんじゃないしねぇ。嫌なら嫌で別れたら良いのよ」といつも茶化されていた。「そっすかねぇ。でも、もし、僕みたいのが娘さんと挨拶も無しに勝手に籍入れて、いつの間にか離婚とかしていたら、どうします?しかも、その理由が、ただ嫌だったからって」と返したら、「訴えるわ」と即答された。現実問題である。
 僕にとっての「結婚」は未だに「離婚を前提とした保険」である。好きだから結婚するわけではない。離婚した時に責任の所在を明確にするための結婚なのだ。そう言われて「結婚」することはできる。だけど好きだから、愛しているから「結婚」という風にはどうしても考えられない。好きならば結婚せずとも一緒に居ることができる。子供も作れる。一緒に住むこと、生活することもできる。それに結婚することが人生を共にすることだ、という思考も気に入らない。結婚しても、個人は個人である。僕は血の繋がりを信じていないので、血に依存した家族形態には興味がない。血が繋がっていてもいなくてもファミリーになることはできる。
 本当に好きな人であれば、そういう関係でありたい。約束や契約に頼らない様な絆が良い。血の繋がりこそが家族だ、なんて幻想も要らない。日本人であれば、祖先はいくらでもグルーピングが可能だろう。そんな中で濃いか薄いかだけで、家族を決められてしまう様な考えが僕は何よりも気に入らないのである。