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最近は写真日記。

レヴィ・ストロース

マルクス主義者やネオ=マルクス主義者が歴史を知らないと言って私を非難したとき、私は彼らにこう答えたのですー「歴史を知らないのは、あるいは歴史から眼をそむけているのはあなたたちだ」、とね。「現実の具体的な歴史を、あなたたちは、あなたたちの頭のなかにしかない歴史発展の大法則に置き換えているのだ」と言ってやりましたよ。歴史に対する私の敬意、歴史に対する私の愛着、それは、歴史の現実の歩みが示す予見不可能性に精神のどんな構成物も取って代わることができないという、歴史が私に与えてくれる感覚に由来しています。偶然性のなかにある出来事、これは何によっても置き換えることができないものだと私は思います。構造論的分析は、この偶然性というやつと、こういう言い方を許してもらえるならば、「うまくやっていく」のでなければなりません。

 (『遠近の回想』)小田亮レヴィ=ストロース入門』