apoPTOSIS:mod.HB

最近は写真日記。

初恋とかした人

 小学校1、2年の時のお話し。僕の小学校は2年ごとにクラス変えが行われるので、2年生の終業式後に下駄箱で同級生と「誰が好きか」を暴露した。3、4人だけだったが、担任もその場に居て話しを聞いていた気がする。「僕はぁ、○○ちゃん」とか皆元気に暴露しているのだが、当時の僕には「初恋は?」と聞かれてもまるでピンと来なかった。「じゃぁ、可愛いなって思う子は?」と聞かれて、「マコちゃん(仮名)」と答えると、皆して「ああ、可愛いよ。2組の奴も可愛いって言ってたもん」と、見上げると担任まで一緒になって頷いている。「ain_edも大変だね」と言われたが、小学生にとってクラス変えは運命の別れ道でもある。
 結果的には3、4年では別々のクラスに成り、5、6年でも同じクラスに成ることも無く小学校を卒業してしまった。その間、僕は同じクラスになった女子を好きに成っていたのだが、やはり廊下ですれ違ったりすると、マコちゃんは僕のタイプだった。ただ思い出してみても、その1、2年間で何かあったわけでも無く、憶えていることと言えば、下駄箱で暴露している自分の姿だけなのである。
 中学受験をすることも無く地元の学校に進み、2年に上がった時のこと。久しぶりに見たマコちゃんは相変わらず可愛かった。しかし彼女は人気があって、彼氏が居たり居なかったり。おまけにクラスも違うので、顔を合わすことは滅多に無かった。
 彼女と同じ部活の子に「マコちゃんて今、彼氏居るの?」と聞くと、「ああ、何、狙ってんの?難しいって。あの子の趣味わかんないから」と暗に止めた方が良いと言われる。彼女の他の友人に聞いて見ると、「いや、何とも言えねぇな。だって今付き合ってるの○○だぜ」と言われ、驚いた。「はい?なんで?」と言いたくなる様な相手と付き合っていたが、「ほら、あの子、面白い男が好きなんだって」と、これまた暗に止めろと言われる。僕は基本的に「女子が面白いと思う男子」の範囲には入っていない。今でもそうだが、「面白いな!」と僕に食いついてくるのは、当時もやはり男子しかいなかったのだ。しかも当時は下ネタなどあまり話さず、それを抜きにしても、絶対的に「女子が面白いと思う男子」には成れなかった。
 そんなある日、「あいつ別れたらしいよ?」という情報が流れて来た。内心、「サイクル早ぇ」と思ったが、当時は電話で告白するのが僕周辺の流行りだったので、ここぞとばかりに電話をかけてみた。学校ではあまり話せなくても、小学校から一緒だし、何とか成るだろうと考えていたのだ。
 コール音の後に「はい、○○です」と明らかに本人の声だった。「あ、もしもし、ain_edですけれど、マコちゃん?」と緊張しながら名乗ると、「…、え?誰?」と言われる。「…、え?誰?って、ほら4組のain_ed」「……。知らない。え?っていうか、誰?」この時点で結果はわかり切っているのだが、若さは素晴らしい。「いや小学校の時も一緒だったじゃん。うそ、この間も廊下で話したじゃん」「えぇ?いつ?ああ、何となくはわかった」とまるで要領を得ない。「で、どうしたの?」と聞かれ、「いや、告白しようと思ったんだけれどね、知らないんじゃどうしようも無いよねぇ」と素直に答えると、「ああ…、は?何?告白?何で?いや、でも知らないし」と向こうも焦り始めた。小学2年からできなかった告白だったが、取り合えずノリで言っておいた。「うん、だから、まぁいいや。とりあえずどんな男子が好きか教えて?」とその電話から友人タイムがスタートし、中学を卒業するまでそんな調子だった。受験の時には勉強を教えたり、つき合ってもいないのにクリスマスを一緒に過ごしたり。高校に入ったらまた告白でもしようかと思って、そのまま時は流れてしまった。
 イタリアに留学する年の地元の夏祭り。久しぶりに地元の友人達に会って話しをしていると、「そういえば、マコちゃん」と久しぶりにその名前が話題に上がった。「結婚したらしいよ?」と友人の内の一人が言い、その後に揃って僕に視線が集中。僕はと言えば「…あはは、そりゃぁねぇ、結婚する年でしょう。何?何だよ?」とその視線に答えると、幼なじみが「ショックだねぇ!好きだったもんねぇ」と肩を叩く。「へぇ、いつ?誰と?」と質問すると、「ああ、できちゃった結婚だって。一時期かなりギャル化してたしな」と僕の初恋はどん底である。その時期、地元の友達に会ったりすると「マコちゃん、結婚だって。で、どうなの?」といちいち話題になったが、ただただ初恋だったなぁと思い出すばかりなのである。
 ちなみに彼女が中学の卒業アルバムに書いてくれた言葉は、

ぐれちゃわないでね。

 だけである…。