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最近は写真日記。

自動トラックバック

「一方的なプレゼントは暴力と同じだから」

 と書いたのは確か吉野朔実だったか。先日のミュージカル・バトンで回す先を書いた時に、「暴力的トラックバック」と書いたのは、そういう考えがあったからだった。
 はてなダイアリー自動トラックバックは、慣れてしまうと本当に使いやすい。id:と書けば、他人の記事に言及できるのだ。僕はいつもPCから記事を書いているが、これは携帯から書く場合に本領を発揮するのかもしれない。ただあまりにも安直に自動リンクするために、トラックバック巡りをした際に、有益な情報に届き難かったりもする。例えばしっかりと文章を引用し、言及している場合は良いが、一言で終わっていたり、ましてや、ただURLを貼って終わる場合も多々ある。こういう場合に、そのリンクをどう受けとるかはその人次第なのだろう。それが繋がりとして発展するのならば、ポジティブに受け止めることができるが、僕はそうしてリンクされ、そこからお互いに意見を交換し合うという現象に達したことがない*1。その様な場合に、トラックバックでは無く、リンク元/リファ元として表示されるならば、あまり構えないで受け止めることができる。またはてなダイアリー内で、備忘録的役割としてURL羅列オンリーのページが増えたが、そういったページの場合、この自動トラックバックのOn/Offは、効果的だろう。
 僕のページでは表示モードはデフォルトの日記モードになっているが、ブログモードになると、トラックバックとid:形式での言及では少し違った働きをするようだ。ブログモードの場合、記事毎のトラックバックでは、それぞれの記事に対してしっかりとトラバを送らないといけない。id:形式で送ると、その日付の記事全体に送ることになり、どの記事に言及しているのか見え難いようだ。そういう意味では、ブログモードにしている場合、しっかりとトラバ元の意図を読み取り易い。
 そして、はてな外のブログサービスでは、トラバを飛ばせば、トラバ元のタイトルが表示される様になっている。はてな内でも、トラックバック送信を使えば、同様の働きをするが、id:形式での表記が好まれ、結果としてトラバ先に、ただURLが表示されるだけになる。人気記事にトラバが集中している場合、僕は何よりもまずタイトルが表示されているトラバを選ぶが、やはりURLだけの表示の場合、リンク先を1つ1つ訪れて内容を確認するのは骨が折れる。しかし僕もid:形式で言及するので、自分のことは棚に上げているのだが。
 ミュージカル・バトンで「暴力的」と書いたが、以上の事柄も含めて、最大の要因は、トラバ先の記事には何1つ言及していないにも関わらず、トラックバックするからである。それも同時多発的に。ここでもしトラバ先に、トラバ元のタイトル、例えば「ミュージカル・バトンの誘い」として表示されたならば、少しはトラバ先にもその意図が伝わるだろう。もちろん対象が「バトン」に対しての知識を持ち合わせていなかった場合、それはただの記号の羅列に他ならないし、「暴力的」であるということには変わりはないが、対象に対して「こういうネタに乗ってみませんか?」という意思表示にはなるのではないか。もちろん、既に関係が築かれていれば、「こういうネタで書いてよ」と、記事言及としてのトラバではなく、ネタ提供としてのトラバは十分に作用しているだろう。
 つまり、僕が思うに、今回自動トラバのOn/Off設定ができる様になった背景には、自動トラックバックそのものにあったのでは無くて、トラバ元の不透明さにあったのではなかろうか。トラバ元のタイトル、もしくは何に言及しているかが少しでも読み取れれば、自動トラックバックはより効率の良いものになったに違いない。それがid:形式で行えていれば良かったのだろう。
 はてなダイアリーでは、キーワードリンクおとなり日記などで他人と繋がり易い。自動トラックバックも、他人の記事に言及するという、ちょっとした戸惑いや躊躇のハードルを下げてくれていたのは確かである。ただそれが一般化し過ぎて、他のブログサービスの様なトラックバックの貴重性が失われているのだろう。はてなダイアリーの面白さは、意図していないところで他人に繋がるという、社会の縮図の様な働きを示してくれる部分がある。具体的に言えば、「私は別に新しい出会いが欲しいわけでも、情報交換の場が欲しいわけでもなくて、ただ自分の文章をまとめて、それを自分の知っている人たちに見せてあげたいだけ」と思っていても、結果的に新しい出会いや、情報は入ってくる。現実的に引きこもっていても、テレビやネットや、ライフラインや、食糧にしても、何処かで誰かがそれを生産して供給している結果で、それを需要している限り、他人と繋がっていることには変わりはない。そうして無意識の内に人は何処かで繋がって、他人に影響を与えているという、その働きのネット上での表れが、はてなダイアリーでは自動トラックバックだったというのは、少しいき過ぎた考えだろうか。

*1:トラバを元にコミュニケーションを始めなければいけないという意味ではない