シリーズ
言われるがままにフロアに戻ると、先程の一群が既にくつろいでいた。その席は、一応VIP席と言われ、フロア席よりも一段高い位置に設置されていた。専務に招かれ紹介が始まる。 「あ、これ、ウチのナンバーワン候補のサクラくん」 じゃあ、座ってと席を促され…
[シリーズ]ホストになってみよう:サイドストーリーその2 2005-06-16 [シリーズ]ホストになってみよう:その20 2005-06-09 [シリーズ]ホストになってみよう:その19 2005-05-24 [シリーズ]ホストになってみよう:その18 2005-05-18 [シリーズ]ホスト…
レセプション2日目。オープンは1日目同様の時間だったが、僕は家庭教師の後だったので、出勤時間が23時頃だった。タイムカードを押し、フロアに出ると先日同様2組程度しかお客がいなく、閑散としていた。 「おはようございます」いつの間にかジョーが隣に立…
IELTSコースに登録したものの、面白味は何もなかった。10ヶ月の滞在でイヤというほど文法は叩き込まれ、揚げ句にCFCコースでは日常会話では絶対に使わない単語まで覚えさせられていたので、IELTSコースで学んだことといったら、テストの傾向と対策くらいで、…
オープン前の何度目かのミーティングで、メガネをして行ったことがあった。僕の視力は中学生くらいから低下し、高校の頃には黒板の文字が見え辛くなって、席替えの時には、なるべく前の方の席を確保できる様にしていた。大学に入るまでは何とか誤魔化せてい…
「はい、お疲れさまです」と眠そうな顔で代表が口を開いた。「やっとこの店もオープンして、1日目が終わったわけだけれど、仕事の感覚が掴めたか?今日見ていて感じたことは、お前らもっと酒を飲めよ。お前らが飲まないから上の人間がどんどん潰れていくだ…
専務に呼ばれフロアに出てみると、既に違うお客さんが。専務の昔からのお客さんらしく、紹介してもらい、席に着く。体格の良い中年女性で、身に付けているものも豪華だった。「彼はねぇ、考古学を勉強してるんだって」と専務から話題をふられ、「そうなんで…
それから少しして「そろそろ、帰りません?」と、マミさんが時計を見て、エリさんの様子を伺った。「うん、そうね」とエリさんはドリンクを1口飲んでから、鞄を開けて、ごそごそとやり始めた。(お会計かな?)と思って、フロアにいるホストに合図を送ろうと…
横浜のホストクラブ見学に行く前に、「1ヶ月くらい、ホストのバイトするから」と母親に告げた。「へぇ。あんたなんかにできるの?お水の花道」と母親は普段通りの返答だった。「さぁ。1ヶ月だけだから」とお茶を飲んでいると、「ねぇ、それ私も行っていい…
隣に座って気がついたのだが、お客さんが居ない所為か、店内が寂しく感じられた。というのもお客さんは壁際に備え付けられたソファーに座り、フロアに対面している。僕たちホストはテーブルを挟んだお客さんとは反対側の、小さな椅子に座り、お客さんとその…
(えっとバツイチ?いやバツニとか?)と切り込めずに、ただ僕は「そうなんですか?」と笑って返すしかなかった。それを見透かしたかの様に、エリさんは自分から、「私ね、バツイチなのよ」と煙草の灰を灰皿に落とす。マミさんはもちろん知っていたらしく、…
「……。えっと、僕…ですか?」と戸惑いながら、フロアチーフを見ると、彼は一瞬キョトンとしたものの、「はいはい、サクラくん、座らせてもらいなさい。ほらほら」と席を譲ってくれた。主任の方を見ると、意味はわからないが、1人で頷いていた。「あ、はい、…
そうして何度か席に呼ばれ自己紹介している間に、ドリンクと煙草に関しては自然と体が動く様に成った。ただ気掛かりだったのは、相変わらずお客さんの入りが少ないこと。テーブルが全て埋まるわけでも無く、お客さんも長居するわけでもなく、ちょっと専務と…
ドアに寄り掛かって外を眺めていたものの、カレンダーは12月に成っていたので、30分も立っていると体が冷えてくる。あまりに暇なので、店前の駐車場を散歩したり、フロアを除いたり、トイレに行ったりして、時間を潰した。 午前0時くらいになってようやく人…
レセプション1日目。最寄りの駅でジョーと待ち合わせてお店に向かう。お店に着くと、オープンの為、他店から贈られた花が店頭に飾られていた。入店する時は「おはようございます」と挨拶をするのだが、やはり慣れず、人に会うとついつい「こんばんは」と言っ…
エイプリル・フールから上げるはずだったのに、既に行動を起こしているみたいだから、企画だけ上げて置こう。わかってるよねぇ?君だよ、君。コメント欄、後は任せるからぁ。好きに使って下さい。
僕たちのグループを指導してくれるのは先輩ホスト:カガミさん(仮名)で一番綺麗な顔をしている人だった。「綺麗な」というのは人それぞれなのだろうが、目鼻立ちがはっきりしていて、濃い顔の代表みたいな人だった。平井堅をもう少し、白人寄りにした感じ…
「水商売は基本的にダウンサービスだからね。わかる?ダウンサービス?」風俗やお水に1度も行ったことの無い僕が、水商売の基本を知っているわけがない。隣を見るとジョーもキョトンとしている。「ダウンサービスってのは、要するにお客様の目線よりも下でサ…
「ain_edさんはどうしてこの仕事を?」僕の後を追いかけて来た若い男子は、ジョー(後の源氏名)と名乗った。「えっと、ゲーセンで誘われてね。ジョー君は?」「僕も似たようなもんですよ。ちょっとお金も無かったんで」そんな話しをしながら、僕らは駅へと…
自己紹介してと言われても、顔合わせであって面接ではないので、氏名、年齢、趣味などを簡単に答えていく。それぞれに代表や専務の方から質問があるが、基本的な質問と言えば「過去にホストをやっていたか」である。他の男子達を見ていると、ホストとまでは…
ホスト見学をしてから数日後、いつものホストから電話がかかってきた。「もしもし、この間はどうもね。来週の土曜日なんだけれど、新しい店で顔合わせするからさ、来てもらえるかな?」詳しい話しを聞くと、地元の駅から少し離れた場所に店がオープンする様…
入り口のドアを開け、何処かに行くのかと思えば、専務はその場で煙草を吸い始めた。「煙草、吸わないの?」とライターを出されるが、「僕は、吸わないんです」と答えた。「そか、この仕事興味あるの?」「まだわかりません。見学しに来いって言われたので、…
周囲を見渡すと、僕以外にもう1組男性客がいる。2人組みの男子で、明らかにガテン系である。やはりスカウトされたらしく、見学に来た様だ。遠くて会話までは聞き取れなかったが、明らかにホストを小馬鹿にした様子で、彼らを見ていた。結局10分もしないで彼…
ホストとの待ち合わせは、土曜の夜、23時に桜木町駅前だった。着いたら電話をするということになっていたので、駅に着いたことを知らせた。10分もしない内に車で迎えに来た。セダンではあったが車種を憶えていない。「うん、スーツだとまたいいねぇ。それ。…
ホストと電話番号を交換して、数日後、見知らぬ番号から着信が。「もしも〜し、この間のホストですけれど」相変わらずのソフトタッチ。話しを聞く限りでは、どうやら近い内に僕の地元駅周辺に新しい店舗を出すとか。本店は横浜にあるのだが、そのオープンに…
真夏のオーストラリアから真冬の日本へ。その時の自分を、僕はあまり良く憶えていない。憶えていない、というのは、「何もしていなかった」と同義だ。憶えている程のことをしていない。記憶に残らない日常だった。辛うじて憶えているのは、日本に帰っている…
ホストクラブの場所をネットで確認する限りでは、普段日常的に通っていた道だった。意識して見れば、しっかりと看板も出ているし、店の前には人気ホストの写真が貼られていた。その横には「随時ホスト募集中」の求人が。しかし外から見る限りでは店がオープ…
あれは確か、幼なじみと神保町で買い物後、秋葉原を経由し、五反田まで徒歩で歩いた時のことだ。報告書を探しに神保町に出て、散歩がてらに秋葉原まで行った。神保町と秋葉原の途中で昼食を取り、秋葉原を出る頃に夕食を食べた。話しが盛り上がっていたため…
オーストラリアのクリスマスは真夏である。サンタがサーフィンをしている映像は良く目にするが、クリスマス時期に半そで短パンだったりすると変な気分である。サーフィンを始めてからは、裸足で行動することが多くなって、街中でも裸足で歩いていた。イタリ…
日本に帰国している間は中断していた、オーストラリア語学留学の話し。前回はCFCコースが終了したところまでだった。1番遊び呆けていた時期である。 日本の夏はオーストラリアでは冬である。地中海性気候なので、イタリアと同じ。夏は乾燥し、冬は雨が多く…